日本代表にとって”脅威” ツワモノぞろいドイツ代表でホフマンが”キーマン”に急浮上する理由

さまざまな場面で攻守に関与【写真:ロイター】
さまざまな場面で攻守に関与【写真:ロイター】

「僕のフレキシブルなプレースタイルは上手く出せていると思う」

 ゴールやアシストといったゴールに直結するプレーも優れている。イングランド戦ではキミッヒのパスをペナルティエリア内でパスを受けると鋭いターンからの右足シュートで得点。相手に先にリードを許したハンガリー戦では、センターバックのニコ・シュロッターベックからの素晴らしい縦パスで守備ライン裏に抜け出すと飛び出してきたGKの鼻先でボールを触って交わし、無人のゴールに流し込んでみせた。

 とにかくパフォーマンスが高みで安定しているのが心強い。所属クラブのボルシアMGではインサイドハーフやトップ下で起用されることも多いホフマン。代表では右SBや右サイドの攻撃的なポジションで起用されることが多いが、どこで起用されてもミスが少なく、インテリジェンスの高いプレーで重要なアクセントを加えてくれる。

 イングランド戦後にはミックスゾーンで自身の役割について次のように振り返っていた。

「悪くない試合だったし、ファンが熱狂できるサッカーができたかと思うんだ。アクティブで、ボールの流れもよかったし、チャンスを作り出せていた。僕のフレキシブルなプレースタイルは上手く出せていると思う。相手守備を引き付けたり、スペースをうまく作りながらチャンスに絡めている。僕らにとって今は『どんな風にプレーをするのか』が重要だから。自分達がイメージしているのに近いところまではきていると思う」

 前述したようにドイツ代表は攻撃陣に資質の高い選手を多く抱えているが、サッカーはそうした選手をピッチ上で起用すればするほどチームとして機能するわけではない。お互いがお互いの力を発揮できるように有機的に機能し合えなければ宝の持ち腐れとなってしまう。ホフマンが担っているようなタスクをこなせる選手がピッチにいると、それぞれの選手はよりシンプルに自分らしいプレーを引き出すことができたりする。サッカーは選手の力を足し算すれば何とかなるスポーツではないのだから。

 “いい選手、チームに必要な選手”というサッカーの本質的なことを考えたときに、ホフマンのような選手を正しく評価して、正しい起用法ができるかどうかというのはとても大事なことのように思われる。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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