英記者、森保ジャパンの6 月シリーズ総括 W杯へ保守的采配を懸念「プランAは恥ずべき形で崩壊した」
【識者の目】日本のテストマッチ4試合を考察、森保監督の采配をどう見たか
日本代表は6 月シリーズ4連戦を2勝2敗の成績で終えた。11月に開幕するカタール・ワールドカップ(W杯)に向けたテストマッチと位置づけられたなか、かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、森保一監督の采配について「保守的な性質を振り払わなければいけない」と持論を展開している。
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W杯に向けたカウントダウンの声が大きくなり、11月のサムライブルー(日本代表)の座を最終的に誰が掴むかを競い合う状況にあれば、2週間弱の短期間に行われた4試合からは、多くのことを読み取りたくなるのは無理もないだろう。
土壇場での監督交代劇もほとんど起こらないことが確実な今、多くの憶測のなか、唯一確実なのは、日本代表としてカタールヘ行き、ドイツ、スペイン、コスタリカと戦う選手たちを決定するのが、森保監督になるということだ。
アジア最終予選の序盤3試合で、1勝しか挙げられなかった時、監督は不安定な状況にあった。しかし、最終予選を突破したことによって、かつてのサンフレッチェ広島の監督は、W杯でチームを率いることが保証された。
我々は予選を通して、森保監督が彼の持つ戦略に大きな変更を加えないことを見てきた。オマーンとサウジアラビアに敗れ、十分な結果が得られていなかった時でさえも、彼は自身の脚本を破り捨てて、新たなスタートを切る機会を生かさなかった。
その代わりに森保監督は、チームに微調整を加えた。アウェーのサウジ戦で敗戦後、柴崎岳は、田中碧に道を譲り、伊東純也は予選を戦っていくなかで、右サイドにおいて目立つ存在へとなっていった。とはいえ大枠でいえば、チームはそれまでと変わっていない。必要とされた場面では、三笘薫のような存在が重要な局面で日本に有利な働きがけをしていった。
ドイツとのW杯初戦に向けて、森保監督が選ぶ先発11人は、先日、東京で行われたブラジルとの親善試合に出場したメンバーと、ほとんど変わらないだろう。もしかしたら、長友佑都が左サイドバックに戻り、酒井宏樹が右サイドに入り、冨安健洋が吉田麻也と中央を固めるかもしれない。
すでに森保監督が、保守的なアプローチを取ることはよく知られており、それが彼の就任以来、続いているフラストレーションにつながっている。その兆候は、2019年のアジアカップまで遡ってもすでに見られていたが、それでもチームの決勝進出を妨げることはなかった。最終予選でも同じことであり、日本は再びW杯の出場権を手にしている。
だが、同じようなことは、昨年の東京五輪でも示された。この大会における決勝ラウンドでのパフォーマンスが、11月のサムライブルーを最も暗示するのではないだろうか。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。