森保ジャパン、W杯躍進のキーワードは「規律」 日本代表OBがブラジル戦分析「日本はまだ迷いがある」

中盤で出場したMF遠藤航【写真:Getty Images】
中盤で出場したMF遠藤航【写真:Getty Images】

【専門家の目|金田喜稔】「規律面でもブラジルが上回っている印象を受けた」と指摘

 森保一監督率いる日本代表は、6月6日に国立競技場で行われたキリンチャレンジカップのブラジル戦で0-1と敗れた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、「もう少し規律を植え付けられれば、日本の選手はもっとできると思う」と力説。11月のカタール・ワールドカップ(W杯)に向けた改善点として「規律」を挙げている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 FWネイマール(パリ・サンジェルマン)やFWヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)、MFカゼミーロ(レアル)といった主力がスタメンに名を連ねたブラジルに対して、日本は守勢に回りながらも粘り強く対応。しかし後半32分、PKからネイマールに決勝ゴールを決められて0-1と敗れた。

 日本の善戦にも見えるなか、金田氏は「FIFAランク1位のブラジルを相手に、客観的にはPKによる1失点だけ。日本(同23位)は身体を張り、チーム全体で粘り強く戦った。局面の1対1でも全員が奮闘し、球際でも気迫を見せた。ブラジル戦で見せた個々の守備には自信を持っていい。ただ、0-1の内訳を見たら『惜敗』『僅差』ではなく、どちらかと言えば『完敗』寄りだ。シュート数なども圧倒されている」と冷静に振り返る。

 シュート数4本の日本に対してブラジルは18本。ブラジル戦で浮かび上がった課題の1つとして、金田氏はプレスを挙げた。

「古橋と左右のウイングが連動しながらコースを限定し、南野はダニエウ・アウベス、伊東ははギリェルミ・アラーナへのパスコースを意識してプレスを掛けた。しかし、カゼミーロ、フレッジにボールを通されると、結局、そこからアラーナやD・アウベスがフリーになってボールを受ける状態を作られてしまう。そういうところでビルトアップされていくと、いくら広範囲をカバーしている遠藤でも、さすがに対応できる範囲ではなく、日本はそこを上手くやられた」

 日本の伸びしろを感じている金田氏は「もう少し規律を植え付けられれば、日本の選手はもっとできると思う」と力説。キーワードは「規律」だ。

「もっとスムーズに守備ができ、奪ったあとに攻撃へ移行できる。ボールの持ちどころ、攻撃での共通理解、ボールの追い込み方など、すべてがレベルアップするはずだ。もちろん、日本も一定水準まで浸透しているが、規律面でもブラジルのほうが上回っている印象を受けた」

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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