森保ジャパン、W杯躍進のキーワードは「規律」 日本代表OBがブラジル戦分析「日本はまだ迷いがある」

体を張った守備で貢献したDF長友佑都【写真:高橋 学】
体を張った守備で貢献したDF長友佑都【写真:高橋 学】

W杯に向けて求められるのは「同時性を伴った規律的守備」

 規律のさらなる浸透を求める金田氏は、守備における同時性についても説く。

「よく守備は連動と言われるが、ブラジルぐらいのレベルになると、ただ単純に連動しているだけではボールは奪えない。大事なのは同時性だ。1人がボールを奪いに行く時、チーム全体でボールを奪いに行く同じ絵が浮かぶぐらいの同時性がないと、強豪国にはプレスをかいくぐられる」

 ブラジル戦で森保ジャパンの選手たちは球際で互角の攻防を繰り広げ、「日本の個々の守備意識が高いのはブラジル戦で証明されたし、当然、評価もできる」と金田氏も及第点を与えている一方、チームとしてはわずかな迷いが見えると分析した。

「ただし、日本はチーム全体でのボールの追い方・寄せ方にまだ迷いがある。結局、その迷いがすべてのズレを生むし、ブラジル戦でも見られた。局所的に守備するのではなく、同時性を伴った規律的守備がW杯に向けて求められる」

 金田氏が森保ジャパンに高いレベルを求めるのは、W杯本番で対戦するドイツ戦、スペイン戦を見据えているからに他ならない。「本番では、ドイツ、スペインのどちらから勝ち点を取らないと、決勝トーナメントには勝ち上がれない可能性が極めて高い」と展望し、ブラジル戦で見えた2つの事実を切り分けて考えるべきと主張する。

「個々が奮闘した事実と、チームとして圧倒された厳然たる事実を分けて、シビアに判断・分析しないといけない。ブラジル戦は結果として、負けは負け。W杯でどれだけ善戦しても、ドイツやスペインから勝ち点を奪えなければ『健闘』という結果で終わってしまう」

 今月2日のパラグアイ戦(4-1)、6日のブラジル戦(0-1)を終え、10日(ノエビアスタジアム神戸)にガーナ、14日(パナソニックスタジアム吹田)にチリまたはチュニジアと対戦する森保ジャパン。7月に国内組で臨むE-1選手権、9月に海外遠征2試合が予定されているなか、金田氏は規律面での飛躍に期待を寄せていた。

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金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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