「厳しい世界」 シャルケ板倉滉、監督解任乗り越え掴んだ主力としての成長 去就にも言及「とにかくプレーする場所でしっかり」

「とにかく後ろは一生懸命守らないと」 失点しないDFとしての誇り

 地元メディアからはシーズン当初「軽率なミスから失点をしてしまう試合が多い」と批判的な見方をされたシャルケだが、板倉加入以降は攻守のバランスが改善され、失点もピンチ頻度も間違いなく減っている。

「とにかくチームの助けになるように。失点しないというのを守備の選手として第一に考えるんですけど、それ以外でも試合のなかで周りの選手をサポートするというところは常に気をかけてやっていました。前の選手があれだけ爆発してくれたら、とにかく後ろは一生懸命守らないと。(今季)シャルケは新しい選手が多くて。いい選手が集まっていたものの、去年からの積み上げというのがなかったので、そういう意味では難しかったですけど。でも最後はチームとして戦った結果がこうやって優勝につながったと思っています」

 チームとしてのまとまりのすばらしさ。一例として板倉はテローデの存在を明かした。30得点で2部リーグ得点王になったFWだが、ピッチ外で果たした役割もとても大きかったという。

「あれだけ点取ってて、あれだけいいプレーして、キングみたいな存在でしたけど、ピッチ外ではめちゃくちゃいい人だし、常にチームに気を配っている選手。だからこそみんなから愛される。結果これだけ出て、慕われて、僕個人としてもああやって得点王になって、彼を祝福できることはすごくうれしい」

 1部復帰を決めたシャルケだが、板倉の去就はまだ決まっていない。シャルケサイドは是が非でも板倉の残留を願い、保有権を持つマンチェスターシティと現在交渉を続けているという。

「来季どうなるかというのは僕自身まだわからない。移籍前提というわけではないし、シャルケに残る可能性だってある。僕はとにかくプレーする場所でしっかりと自分のプレーをする。今シーズンも31試合リーグ戦に出れましたけど、それが一番大事かなと思っています」

 1試合1試合大切に。その積み重ねが生み出すものの確かさを板倉は知っているのだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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