Jリーグで“最も主審を務めた男”、家本政明の心に残った「クレバーな選手」たちとは?
【インタビュー】中村憲剛、小野伸二、中村俊輔、遠藤保仁ら冷静なゲームハンドラーが好み
サッカーの試合において、選手以外にピッチに立てる唯一の存在が審判員だ。歴代最多となるJリーグ通算516試合で主審を務め、2021年シーズン限りで国内トップリーグの担当から勇退した家本政明氏。20年間のキャリアの中で印象に残った選手を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史/全2回の2回目)
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主審はプレーのジャッジが最大の役割だが、試合を円滑に進めるためには選手たちとのコミュニケーションも鍵を握るファクターになる。家本氏は審判員時代、「選手としてはもちろん、人として常に見る」ことを意識していたという。
「僕は『審判・家本政明』というよりも、『人間・家本政明』として見てほしいという思いが前提にありました。昔は審判、審判と押し出していた自分がいましたが、ある時からそれは違うな、『人間・家本政明』として見てほしいなと。 そのなかで、人柄はフットボールプレーヤーである前に非常に大事だと思っています。競技以外の部分でどういった活動をしているのか、発信をしているのか、クラブのホームページなどを興味深く見ていました」
家本氏は、ポジションにかかわらず、ゲームをコントロールできる「クレバーな選手」が好きだったという。
「具体的に言うと、中村憲剛さん(元川崎フロンターレ)、小野伸二選手(北海道コンサドーレ札幌)、中村俊輔選手(横浜FC)、遠藤保仁選手(ジュビロ磐田)。常に冷静で、ピッチ全体の状況を理解しながらゲームをハンドリングする選手が好きです。ただ、それは中盤に限らず、宮本恒靖さん(元ガンバ大阪ほか)、中澤佑二さん(元横浜F・マリノスほか)も冷静さを保ち、全体を見ながら自分の役割に徹する選手でした。コミュニケーションをとる際もお互いに興奮することはないし、冷静に大人な会話ができて、彼らの言い分は聞けましたね。
大久保嘉人選手(元セレッソ大阪ほか)は若い頃はすごくヤンチャでしたが、キャリアを重ね、4児の父になって、人となりが変わっていくのを感じました。一見興奮しているように見えて、実際はそうではなくて、こちらもそれに持っていかれないように、自分自身が心を整えて対応しないといけない。難しい反面、好きなタイプの選手でした」