女子サッカー「WEリーグ」の現在地と課題は? 初代女王・INAC神戸監督が指摘「リーグ全体の質だと世界でも戦える」

INAC神戸を率いる星川敬監督【写真:Getty Images】
INAC神戸を率いる星川敬監督【写真:Getty Images】

INAC神戸の星川敬監督、リーグ全体のレベルアップについて「得点が少ないのは課題」

 INAC神戸レオネッサの星川敬監督は、WEリーグ初の国立開催になった5月14日の三菱重工浦和レッズレディースに0-1で敗れた悔しさを語る一方で、初代女王のチーム監督としてリーグ全体のレベルアップに対して「世界のリーグに追い付け追い越せのなかで、得点が少ないのは課題」とコメントした。

 INACは浦和に対して後方からビルドアップして組み立てようとしたものの、狭いエリアにプレスを受けたところを打開できない回数が多く、なかなか攻め切れなかった。すでに優勝を決めた状態に試合とあって、星川監督は「こんなに素晴らしいスタジアム、多くのファンに来ていただいて感謝している。勝利できなかったのは残念だけど、女子サッカーのいいところ、ひたむきなところは表現できたと思う。舞台が国立という高いモチベーションはあるけど、優勝した後の試合は難しい」と渋い表情だった。

 一方で、ほぼ1シーズンを戦い終えようという中、初代女王として3バックでのビルドアップなどチャレンジングなサッカーをする意図を見せてきた。そうした成果、あるいはリーグ全体のサッカー的な魅力がどうかという点や、この試合のようにプレスを受けた時に簡単にロングボールで打開するパワーを持ち切れない部分について、指揮官は日本女子サッカーを見渡して話した。

「男子よりは世界に近い距離感だと思うし、世界のリーグに追い付け追い越せのなかで、得点が少ないのは課題。それは自分たちもそう。リスクを背負っても前に出て行くことをやらないといけない。守備のオーガナイズはいいけど、攻撃のところ。男子と同じサイズのコートでやるなか、ダイナミックさに欠けると思う。世界的に見れば、日本の女子はよりスピーディーで、テクニックやコンパクトにやれる。リーグ11チーム全体の質だと世界でも戦えると思う。

 私たちもパスの出し手と受け手の位置はトラッキングしていて、35メートルから40メートルのボールは遅くなってくる。なので、1つ経由して早い時間で届ける努力はしているけど、世界はそこで蹴ってくる。外国人選手などがいれば飛躍的に変わるかもしれないけど、すぐにできるわけじゃない。1つ経由するなかでもスピーディーさも目的にしている。今日の試合で言うと、相手も後ろでボールを動かすなど停滞している時間も長かった」

 WEリーグ初代女王のINACと、今季の皇后杯チャンピオンの浦和の一戦は熱戦だったが、まだまだレベルアップの余地はあるものだった。日本女子サッカーを牽引している両チームの試合がよりレベルアップしていくことが、リーグ全体の底上げにもつながると感じさせるゲームにもなっていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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