ドイツ2部残留のハノーファー、日本代表DF室屋成に寄せられる名門復活へのさらなる成長

ハノーファー所属の日本代表DF室屋成【写真:Getty Images】
ハノーファー所属の日本代表DF室屋成【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】苦しみながらも2部残留、関係者を包む「このままでいいはずがない」という感情

 日本代表DF室屋成が所属するドイツ2部ハノーファーは、リーグ第32節カールスルーエ戦に2-0で勝利し、同節16位のドレスデンがレーゲンスブルクと1-1で引き分けたことで、2部残留を確定することができた。一時は3部降格の危険もあったことを考えると、ひと安心といったところだろう。それにしても時代の流れを感じずにはいられない。

 かつて、日本代表DF酒井宏樹(現浦和レッズ)がプレーしていた2012-13シーズンのハノーファーはUEFAヨーロッパリーグ(EL)にも出場し、グループステージを首位で突破していた。スピード感のある攻撃は迫力満点。ミルコ・スロムカ監督の下、ブンデスリーガでも安定した戦績を残す中堅クラブとしての評価を確かなものとしていたはず。だが、ここ最近は低迷を繰り返していた。

 2015-16シーズンに18位で2部降格すると、翌シーズンには再昇格。ただ17-18シーズンこそ残留を果たしたものの、18-19シーズンに17位でまたしても降格。それ以来3シーズン2部リーグの生活が続いている。

 今季もシーズン開幕前には昇格候補の1つに挙げられながら序盤からつまずきが多く、8節から15節までは連続未勝利。ヤン・ツィンマーマン監督を更迭し、U-23チームからクロストフ・ダブロフスキを内部昇格させると少なからず風向きが変わり、勝ち点3を手にする試合も増えてきた。前述のとおり、残留を決めることはできた。ただ、33節終了時で勝ち点39の14位というのがクラブの要求を満たした数字ではないことは、関係者全員が深く理解していることだろう。このままでいいはずがない、と。

 コロナ禍の影響もあり人件費をかなり節約してきたハノーファーだが、マルティン・キント会長は「ブンデスリーガ復帰を目指して動き出す」と宣言。今季2000万ユーロ(約27億円)の倍となる4000万ユーロ(約54億円)の人件費を準備し、1部昇格を狙う。

 新監督として昨季フュルトをブンデスリーガ昇格に導いたシュテファン・ライトル監督を獲得。マルクス・マンSDは「シュテファンはフュルトでチームとプレーシステムを1歩ずつ成長させることができるのを示していた」と期待を口にし、ライトル監督は「安定した基盤を築き上げ、一丸となって成功を狙いたい。伝統あるビッククラブでの仕事を非常に楽しみにしている」と意気込みを語った。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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