チェイス・アンリ加入のシュツットガルトの“セカンドチーム”とは? “廃止危機”乗り越え“特別”プロジェクトでプロ入りへ「人間性の成長も」

シュツットガルトが取り組む育成の現状 他クラブと違うところは成長に“特化”したコンセプト

 今シュツットガルトではどのように選手を育て上げようとしているのだろうか。これに関しては2019年から育成アカデミーダイレクターを務めているトーマス・クリュッケン氏が次のように話していたことがある。U-17、U-19年代トップレベルの選手、そしてセカンドチームとなるU-23においては「将来的にブンデスリーガでプレーできる選手を育成するのがメインテーマ」と目標を定めている。

「どのようにこの目的を達成しようとしているのか、何のためにしなければならないのかをインテンシブに取り組んでいる。そうしたなかで、様々な要素を最適に組み合わせてトレーニングプランを構築している。例えば可能な限り効果的にゲーゲンプレスが機能するためには、トレーニングルームでは何を、どのようにしなければならないのかと結び付けて考えるというわけだ。

 また他のクラブと違うところは選手それぞれの成長に特化したコンセプトを持って取り組んでいることだ。うちではトレーニング総時間のうち50パーセントくらいは『個々の成長』に向けたプログラムが組まれている。この『個々の成長』の中には人間性の成長も含まれる」

 時代は変わってきている。いまなおシュツットガルトとしての名声はあるとはいえ、育成の分野においてもライバルクラブとの争いは相当激しくなってきている。

「だからこそ重要なのは内容的に選手に証明することだ」

 クリュッケン氏はそう主張する。そしてこうしたプロジェクトの中からトップチームでデビューし、輝かしいキャリアを積む選手が出てきてほしいと願っている。チェイス・アンリがセカンドチーム選手として獲得されたということは、その先への高い期待をされているからということなのだ。

 シュツットガルトでどのようにその資質が磨かれ、プロで戦っていくための下地が築かれるのか。今後の成長が楽しみな限りだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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