“デュエル王”の遠藤航、ブンデスで「8番のポジション」を担うワケ 主将に求められた新たな役割

2メートル近い選手を相手にしても物怖じしない凄み

 ブンデスリーガの中では決して大柄ではない遠藤が相手ゴール前での肉弾戦で力を誇示する姿を見るにつけ、日本人選手がフィジカル勝負に弱いという風潮に疑問を抱く。少なくとも遠藤は、2メートル近い選手を相手にしても物怖じしないし、逆にその鋭い眼光と激烈なコンタクト力で相手を慄かせる。凛々しく胸を張り、飄々とした態度で相手を跳ね飛ばす彼の姿を見て、同じく異国の地で暮らす筆者はいつも勇気を与えられている。

 試合は終了間際に身長2メートル、体重90キロのシュツットガルトのエースFWサーシャ・カライジッチが値千金のボレーシュートを決めて同点に追いつき1-1のドローに終わった。普通ならば寸前で勝利を逃したホームサポーターが不満を募らせるようにも思うが、2部や3部での時代を長く過ごしたウニオンのサポーターはどんな時もクラブ、そして選手に寄り添い、その労をねぎらっていた。

 これもまた連帯の心。反戦の姿勢を高潔に打ち出すベルリンで、今日もまた、ヨーロッパの一国、ドイツでは、ブンデスリーガというかけがえのない娯楽が息づいている。

島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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