38歳・長谷部誠は「プレーするほうが好き」 試合後の“全力ダッシュ”に垣間見えた現役へのこだわり

プレッシャーを“ポジティブ”に捉えて上位を狙う

 グラスナー監督は今季開幕からしばらくして、指揮官が昨季まで率いたヴォルフスブルクでのチームスタイルに倣ってシステムを4-2-3-1に変更。しかし、勝ち切れないゲームが続き、昨年末から前任のアディ・ヒュッター監督が用いた3-4-2-1へ回帰してチーム状況を立て直した。

 その際、グラスナー監督はチーム内の模範としてピッチ内外で大きな影響力を及ぼす長谷部を主に3バックのリベロで起用し、その効力を十二分に活用してきた。そして今、待ち受ける重要なゲームを前に、再び彼の力が求められる時が来た。

「僕らはお互いにたくさん話し合って、より良いプレーをしたいと思っています。今はすべてが上手くいっているわけではないですが、ピークに達することはできると思っている。そのために、僕らは団結してともに戦い続けなければなりません」

 週末に控えるのは首都ベルリンを本拠とするヘルタ・ベルリンとのアウェーマッチだ。そのヘルタは現在、ブンデスリーガ2部3位との入れ替え戦へ回る16位に低迷している。フランクフルトとしては下位から確実に勝ち点を得て、再びの上位争い、そして悲願のEL制覇に向けて弾みをつけたい。

 思慮深さの中に決然たる意思がみなぎる。

「もちろん、今の僕たちはプレッシャーに晒されている。でも、それをネガティブなものと捉える必要はない。次のゲームに集中して、それに勝てば、もう一度上を見上げることができると思っている」

 重厚に長く、ブンデスリーガ・長谷部誠の挑戦の旅はまだ、連綿と続いている。

(島崎英純/Hidezumi Shimazaki)



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島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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