「お前らサラリーマンか!」 格闘界転身の元“年俸10円Jリーガー”がサッカー界に提言

「職業:挑戦者」の安彦考真がサッカー界に提言【写真:本人提供】
「職業:挑戦者」の安彦考真がサッカー界に提言【写真:本人提供】

【安彦考真の提言】自分の意見はクラブや監督にも堂々と言え!

 元Jリーガーで、格闘家に異色の転身を遂げた安彦考真は現役時代、「クラウドファンディングJリーガー」「年俸10円Jリーガー」として注目された。「職業:挑戦者」と掲げ、セルフプロデュースに長けた安彦に、今だからこそサッカー界に“言いたいこと”を訊いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 38歳で仕事をすべて辞めてJリーガーを目指し、40歳でJ2水戸ホーリーホックの入団テストに合格して念願のプロとなった安彦。10~20代の選手に比べると、フィジカルや体力面で劣るハンデがあった。トレーニングにおいては、全員が同じメニューをこなすのではなく、年齢も踏まえて自分に合った内容・量を提案するなど、選手たちは声を上げるべきだとし、“自己投資”の重要性を安彦は説く。

「サッカー選手は個人事業主なので、明日首を切られるかもしれない。自分が商品であり、株式会社〇〇の社長。そういう認識をもっと持つべきだと思います。率直に言うと、今は選手がチームや監督の言いなりで『お前らサラリーマンか!』と。かつての(元日本代表MF)中田英寿さん、本田圭佑選手のように、言われたままに何かをやるのではなくて、もっと自分を主役として扱い、自分のコンディションが悪ければ休む、あるいは今日はこういうトレーニングをさせてほしいと、堂々と言わなきゃいけない。給料を高級車につぎ込むよりも、マネージャーやトレーナー、栄養士をつけたり、そちらにお金を使うべきです」

 もっとも、安彦は「どこも監督に人事権があって、クラブに予算権がありますからね」と、現在のサッカー界は選手が“意見を言いにくい環境”になりがちだという。

「自分の給料はクラブが左右して、自分が(試合に)出られる出られないは監督が左右するから、嫌われたくない。でも、究極のところは嫌われても使わざるを得ない選手になればいいわけで、クラブと選手は対等でないといけない。クラブは『雇ってやっている』という感覚が少し強い気がするし、『社会人』として扱おうとしている。きちんと『選手』として扱わないといけない。お互いがもっとリスペクトし合うべきだと思います」

現在は格闘家として活躍【写真:本人提供】
現在は格闘家として活躍【写真:本人提供】

 安彦は2021年から格闘界に身を置き、現在はサッカー界から離れているが、選手としてだけでなく、指導者やマネジメント業でも携わった経験を将来的には還元したいと語る。

「正直、今のサッカースクールは、コーチたちのためにあるような感じになってしまっています。夢の搾取事業は古い。これは恩返しとは思えないし、本当の意味でサッカーの良さを伝えないといけない。もう少し先のことにはなりますが、もっといろいろ発信しながら、子どもたちの年代に何かしたいと考えています」

 自らの人生を信じ、オリジナルの道を歩んできた安彦の今後の言動にも注目したところだ。

[プロフィール]
安彦考真(あびこ・たかまさ)/1978年2月1日生まれ、神奈川県出身。新磯高―グレミオ・マリンガ(ブラジル)―ジャパンスポーツサイエンスカレッジ―エドゥサッカーセンター―ブレッサ相模原―南FC―エリース東京FC―水戸―YS横浜。19歳にしてブラジルでプロ契約を結ぶも、大怪我によって白紙。25歳で現役引退後、紆余曲折を経て2018年に40歳でJリーガーとなった。20年限りでサッカー界を離れ、格闘家に転身して活躍を誓う。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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