なでしこジャパン長谷川唯が女子アジア杯を回想 「日本のサッカーが世界一になる道」とは?

なでしこジャパンMF長谷川唯が女子アジア杯を振り返った【写真:(C) AFC】
なでしこジャパンMF長谷川唯が女子アジア杯を振り返った【写真:(C) AFC】

【インタビュー】新体制のなかで得た確かな手応え「本当に結果だけが残念です」

 なでしこジャパン(日本女子代表)は、女子ワールドカップ(W杯)予選を兼ねた女子アジアカップをベスト4で終えた。来年、オーストラリアとニュージーランドで共同開催される女子W杯の出場権を獲得した一方、期待された大会3連覇は達成できなかった。

 池田太新監督が就任して、対外試合を行えないなかで迎えた最初の大会で、イングランドのウェストハム・ユナイテッドに所属するMF長谷川唯は4試合に先発出場し、日本の攻撃を牽引する活躍を見せた。

 準決勝敗退後、すぐにイングランドに戻った長谷川は、この大会を通じてどのような感触を得たのか。前編では、大会に向けた準備段階からW杯出場権を獲得した準々決勝のタイ戦(7-0)までを振り返ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部/全2回の1回目)

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――残念ながら大会3連覇という結果には届きませんでした。その一方で、もう1つの目標であった来年の女子W杯の出場権獲得は達成できました。大会が終わり、1週間ほどが経ちましたが、今、どのような感想をお持ちでしょうか。

「チームもまだ新しい体制になって始まったばかりで、特に海外組は合宿もほとんどできないなかで大会に入りました。私は国内合宿から参加しましたが、そこから積み上げていき、大会でも経験を重ねながら勝ちにこだわることは、チームとして目標にしていました。大会が始まってからも、試合ごとに良くなっている感じはありましたし、本当に結果だけが残念です。これから数を重ねていけば、もっと良くなっていくのではないかと思います」

――大会連覇していたことで、プレッシャーはありましたか。

「いい意味で、なかったと思います。若い選手も多く、みんなギラギラしていました。監督も(アンダーカテゴリーで)今まで一緒にやってきた(池田)太さんだったので、若い子たちが『自分がやってやろう』という気持ちが、すごく出ていました。それがプラスに出ている試合も、何度もあったので、そういう意味ではプレッシャーなく大会に入れていたと思います」

――国内での準備段階から練習試合ができなくなるなど、さまざまなアクシデントがありましたが、長谷川選手が準備段階で「こういうことをしないといけない」と感じていたのは、どのようなことでしたか。

「まずは守備のやり方ですね。攻撃面は個人でアイデアを出しながら、いろいろな選手が関わっていくことが、日本人同士でプレーしていれば、ある程度はできるところがあります。守備は、どこから行くか、どこで取りたいのか。外に相手を追い込むなどのコンセプトは、合宿からも話し合っていました。また、時間帯によってのプランもチームで合わせていかないといけません。相手や状況に応じて、どういう守備をするのかなどは最も重要視していました」

――特に優勝した前回大会も経験しているだけに、大会に入る前に、予定どおりの準備ができなかったことから、不安もあったのではないでしょうか。

「自分自身は不安よりも、個人としても、チームとしても、楽しみな部分のほうが多くありました。個人としては4年前に、アジア人と戦うことに対して、逆に難しい部分があるなと感じていたんです。ヨーロッパの選手なら一発でくるところを、アジアの選手はしっかりついてくる。その守備には、やりにくさがありました。自分の満足したプレーができていなかったこともあったので、そこから今回、自分がどれだけできるかなということが楽しみでした。

 チームとしても、まだ新体制で始まったばかりなので、完成度としてはまだまだなのですが、個人で特徴のある選手であったり、今までの日本の女子サッカーのなかでは、身体能力の高い選手も多かったりしたので、どういう戦いになるのかなという楽しみがありました」

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