【J1全クラブ最新布陣】神戸が悲願のリーグ初制覇へ“豪華陣容” 柏の前線は大幅変化、FC東京の大型ルーキー松木に出番は?

“改革元年”のFC東京、レンタルバックのMFがアルベル監督の申し子的な存在に?

■FC東京/昨季成績
J1リーグ:9位(勝ち点53/15勝8分15敗)
ルヴァン杯:ベスト4
天皇杯:2回戦敗退

【今オフ補強動向】
 最大の補強は新守護神候補のGKヤクブ・スウォビィク(←ベガルタ仙台)だ。多くの優れたGKが揃うJリーグでも最高峰の1人であることは間違いない。アルベル・プッチ・オルトネダ新監督の掲げる攻撃的なスタイルを後ろから力強く支えて行くはずだ。

 センターバックも昨季は大分トリニータでプレー(期限付き)したDFエンリケ・トレヴィザン(←GDエストリル・プライア)とDF木本恭生(←名古屋グランパス)が加わり退団したDFジョアン・オマリ(→未定)、ベルギーのコルトレイクに移籍したDF渡辺剛の穴埋めどころか、さらにパワーアップした感は強い。

 注目の高卒ルーキーMF松木玖生(←青森山田高)はポテンシャルを考えれば、プロ1年目から開花してもおかしくない。ただし、アルベル監督が志向するサッカーは松木にとって未知の領域になるはずで、結果を急がず適応期間を見る必要はある。

 一方で期限付き移籍先の松本山雅FCからレンタル復帰のMF平川怜はスタイル的にマッチしそうな人材。課題だった守備の厳しさは出しつつも、クレバーなポジショニングと正確なボール捌きを発揮できれば、アルベル監督の申し子的な存在になり得る。

 松木と同じアンダーカテゴリーの代表であるMF梶浦勇輝(←FC東京U-18)は戦術理解力が高く、早期ブレイクに期待だ。前線にはFW山下敬大(←サガン鳥栖)が加入。ボックス内で勝負強さを発揮するストライカーだが、これまで在籍してきたジェフユナイテッド千葉や鳥栖で前からの守備とポストワークを学んでおり、アルベル監督が求めるセンターフィワード像にマッチしている。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW 山下敬大 サガン鳥栖
MF 平川 怜 松本山雅FC
MF 松木玖生 青森山田高
DF 木本恭生 名古屋グランパス
GK ヤクブ・スウォビィク ベガルタ仙台

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 田川亨介 サンタ・クララ(ポルトガル)※レンタル
MF 宮崎幾笑 ファジアーノ岡山
DF 渡辺 剛 コルトレイク(ベルギー)
DF 中村拓海 横浜FC
DF 山田将之 大宮アルディージャ

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 アルベル新監督の下、スタイルが大きく変わるFC東京の“改革元年”になるので、新加入選手だけでなく、古参の選手たちにとっても刺激的なシーズンになるはずだ。本当の勝負は来年なのかもしれないが、スタイル定着へ苦しみ低迷に陥ると監督自身がブレなくても選手、さらにはメディアやファン・サポーターなど、周囲が動揺してしまう危険もある。結果と成長の並行で、それなりの結果を出しながら成長していくことが求められる。

 新潟時代のアルベル監督を参考にすれば、1年目はビルドアップの構築に全力を注いでいくことになる。最終ラインはDF森重真人を中心とした昨年までのベースを残しつつ、そこへ肉付けしていくことになるだろう。守備面に関しては、Jリーグ最高GKの呼び声もあるスウォビィクの加入効果にも期待できる。

 また、松木のような若手はもちろんMF安部柊斗やMF内田宅哉など、トップクラスにもう一歩、二歩のところにいる中堅選手たちが飛躍的な成長を遂げてもおかしくない。言い換えると、実力者だろうとアルベル監督のサッカーによりフィットする選手に取って代わられるということだ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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