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「1に挨拶、2に時間厳守」 元Jリーガー監督が東大生に求める“キホンのキ”「いくら才能があっても」
【独占インタビュー】東大ア式蹴球部を率いる林陵平監督が語る東大生たちの実相
J1、J2で通算300試合出場67得点の成績を残した林陵平は2020年シーズン限りで現役を引退し、東京大学運動会ア式蹴球部の監督に就任した。才能豊かな頭脳派軍団を率いるなかで、選手たちには人としての“キホンのキ”を求める――。1年間、林監督が見た東大生の素顔を聞いた。(取材・文=石川遼/全2回の2回目)
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◇ ◇ ◇
現在、林監督が率いる東大ア式蹴球部は2021年シーズンから東京都1部リーグに昇格。しかし、コロナ禍で行われたリーグ戦は24試合で2勝3分19敗に終わり、13チーム中最下位で2部降格の憂き目に遭った。
林監督は「1年目はいろいろな面で本当に大変だった」と監督デビューシーズンを振り返る。苦労は絶えなかったものの、「シーズン終盤には自分たちがやるべきことができた試合も多かった」と手応えも感じた。契約延長が決まり、それを選手たちに伝えた時も「本当に喜んでくれていた」という。成績は振るわなかったが、この1年間を通してア式蹴球部は一体感を手にしていた。
そんな東大ア式蹴球部にはスポーツ推薦で入ってくる選手はおらず、戦力的には他の1部リーグの大学と比べて見劣りする部分も多かった。超難関の一般入試を経て入部する選手の中には、東大でも最難関とされる理科三類の医学部に籍を置く者もいる。
林監督は「勉学の方も大変みたいですしね……。時には部室で授業を受けている人もいたし、読んでいる本は見たことないような記号が並んでいるものばかり。ちょっとレベルが違う」と、勉学と部活の両立をこなす姿に感心しきりだ。
「僕もふとした時に思いますよ。『本当に凄いな。大変な勉強の時間を削ってまでサッカーをするなんて、本当にサッカーが好きなんだろうな』って。そんな彼らのことは尊敬しています」
選手たちに対し、林監督はサッカーを通した「人間的な成長」を日頃から求めてきた。日本最高峰の東大の門をくぐった学生たちだけに、人間的にも“超優秀”な精鋭が揃ってるかと思いきや、話を聞くと指揮官も思わず苦笑いを浮かべる。文武両道に秀でた東大生といえども、欠けている部分があることに気がついたという。
「1年間やってみて、東大の子たちもしっかりしていない部分はたくさんあるなと感じました。意外と挨拶ができないし、遅刻はたくさんする(笑)。今年、公式戦に選手が遅刻してきたことは3回くらいありました。ある試合で選手が遅刻してきた時にはみんなの前で『次からは遅刻したら試合に使わない』と話したんですけど、別の試合でレギュラーの選手が遅刻してきました。チームのエース的存在で、正直出てくれないと困るような選手でしたけど、メンバーから外して他の選手を使いました。
そういう規律の部分はすごく大事にしています。選手たちには、いくら才能があってもコミュニケーションや時間厳守といった人としての基本を大切にしないと社会に出た時に認められないと伝えたいんです」