浦和監督、天皇杯準決勝で“サプライズ起用”が奏功 優勝に懸ける想い「阿部勇樹に天皇杯のカップを」

浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督【写真:Getty Images】
浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督【写真:Getty Images】

天皇杯準決勝でセレッソ大阪に2-0の勝利、今季で契約満了の宇賀神を左SB起用

 浦和レッズは12月12日の天皇杯準決勝でセレッソ大阪に2-0の勝利を収め、19日の決勝・大分トリニータ戦に駒を進めた。浦和のリカルド・ロドリゲス監督は、この一発勝負のゲームに合わせた選手起用を見せてチームを勝利に導いた。

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 スタメンのサプライズは、今季限りでの契約満了が発表されているDF宇賀神友弥が左サイドバック(SB)に入ったことだった。さらには、ダブルボランチもMF柴戸海とMF伊藤敦樹という強度の高いタイプで、パスセンスに優れたロドリゲス監督の信頼も厚いMF平野佑一はベンチスタートになった。左サイドハーフには、一列後ろでもプレーできるMF明本考浩が入り、技術的な要素よりもフィジカル面や局面強度に長所を持つ選手が並んだ。

 しかし、試合が始まってみればその要素が良さを出した。気鋭のドリブラーでC大阪の攻撃でキーマンになるMF坂元達裕を、ベテランらしく距離感を見ながら監視する宇賀神とプレスバックする明本で挟み、中盤の2人はセカンドボールの回収で強さを見せた。右サイドに入った日本代表DF酒井宏樹とMF関根貴大も含め、敵陣でボールを力強く奪い返していく強さが試合の支配につながる。そして、前半29分に宇賀神のミドルで先制点を奪った。

 指揮官はスタメン選定の意図について「ディフェンスも堅くできないとこういった試合では難しい場面が出る。明本はゴールを取る力も守る力もある。左サイドは明本と宇賀神で力強い守備をしてくれた」と話した。

 一方で後半に入るとC大阪の攻勢を受けた。するとロドリゲス監督は、前半にイエローカードを受けた宇賀神を下げてMF汰木康也を投入して明本をサイドバックにシフト。さらに、1-0で相手に押し込まれる時間が続くなかでストライカーのFWキャスパー・ユンカーと伊藤に代えて、MF小泉佳穂と平野をダブル投入。逆にボール保持率を高めて相手の攻撃回数を削る形で試合を安定させた。

 ロドリゲス監督は「1-0で試合が落ち着いて、押し込まれてきた時に、汰木が入って攻撃でボールを持てるようになった。宇賀神もすごく良かったが、カードももらっていたので」と戦況の立て直しの意図を話す。そして「最初から出ていた選手も途中から入った選手も上手くつなぎながら試合を展開して、やるべきことをやって、最後の最後は小泉が個人の力で2点目を取って試合を落ち着かせてくれた。とてもいい試合だったかと言えばそうではないが、全体にやるべきことができた」と振り返った。

 ラスト5分ではDF西大伍とDF槙野智章を入れて5バックにシフトして後ろを安定させ、無理な攻撃に出るC大阪からカウンターで小泉が追加点。仮に、西と槙野を投入する前に同点ゴールを許していれば、ベンチにFW興梠慎三が控えていたので、再びストライカーをピッチに投入することもできた。スタメン選考から試合の途中交代まで、ロドリゲス監督の用兵術が完全にハマった試合になった。

 昨季までの4年間、徳島ヴォルティスを率いたロドリゲス監督は日本でJ2優勝のタイトルを獲得しているが、国内三大タイトルの1つである天皇杯の優勝にも手がかかった。対戦相手の大分を「難しい相手で、リーグ戦でも苦戦した。ホームでは逆転できたがアウェーでは負けてしまった。いつも苦戦する相手、強い意気込みも大事だが、過信することなく、油断することなくやっていきたい」と話す。

 そして、「阿部勇樹に天皇杯のカップを掲げてもらえるように、チーム1つになって戦いたい」と、今季限りで現役を引退するキャプテンの名を挙げた。浦和とロドリゲス監督がシーズン当初からこだわってきた、来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権も懸かったタイトルマッチで、戦術家ロドリゲス監督がどのような浦和レッズをピッチに送り込むのか注目される。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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