「強度」vs「ポジショナル・プレー」 バルサとバイエルンの激突で浮かんだスタイルの潮流
精度の時代から強度の時代に再び移行か
スペイン1部FCバルセロナが、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージで敗退した。21年ぶりである。グループリーグ最終節はドイツ1部バイエルン・ミュンヘンに0-3と完敗だった。
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「現実的に言うと、私たちはバイエルンと同じレベルではない」
シャビ新監督のコメントのとおりだったと思う。現在のバルセロナは、まるで、かつてバルセロナを模倣しようとして上手いかなかった数々のチームを見るようだった。バルサがバルサのレベルに達していない状態だ。
バルサのサッカーを知り尽くしているシャビ監督には、何が足りないかが明確に見えていると思う。アルゼンチン代表FWリオネル・メッシが抜けただけでなく、チームは近年でも例外的な底の状態なので、シャビといえどもそう簡単に再建できるわけではない。
バルサとバイエルンの差はインテンシティーの違いだろう。
バイエルンの速い寄せ、切り替えの速さ、走力に太刀打ちできていない。バイエルンはグループステージ戦全勝。今季CLの優勝候補の1つであり、バルサでなくても勝つのは難しいチームだ。
グループステージ全勝はバイエルンのほかに、リバプールとアヤックスがある。3チームのプレースタイルはそれぞれだが、インテンシティーの高さは共通点だった。
サッカーには精度と強度のどちらも必要だが、精度のチームと強度のチームが覇を競ってきた歴史がある。1990年代はプレッシング戦法で席巻したACミランが強度代表だった。2000年代にはバルセロナがパスワークで強度を凌駕した精度代表である。強度の時代がざっと10年、精度の時代はすでに10年が過ぎているので、新たな強度の時代に入っているのかもしれない。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。