初対戦で乱闘寸前「やり合った」 元日本代表DFが明かす歴代最多得点FW大久保嘉人の“怖さ”と“優しさ”

ピッチでは自分厳しく、ピッチ外では「人思いですごく優しい」

「嘉人さんはとにかく、ストライカーとして『自分が点を取るんだ』とギラギラしている。自分も18年間、プロの世界でやりましたが、(その面では)ナンバーワンでした。オフの時間がないというか、常にゴールを狙っているので、それだけでも怖さがあって、一瞬も気が抜けないんです。決して上背があったり、身体能力がすごく高いというわけでもなく、体格やスピードからして抑えられないわけではない。それでも、相手の裏をとったり、抜け出してシュート、強烈なミドルシュート、ヘディングも上手くて、どんな形でも点を取れた。ノリノリの時は手が付けられなかったですね」

 初対戦で乱闘寸前までヒートアップし合った大久保とは、栗原氏がアテネ五輪の代表候補合宿に初めて呼ばれた時に“再会”。「やり合ったあとだったので僕は少し気まずかったです」と栗原氏は苦笑いしつつも、A代表で共闘した経験(2012年2月のアイスランド戦)も踏まえて、「ギャップがあって、ピッチ外になるとすごく優しい人」と語る。

「嘉人さんとは共通の知人もたくさんいました。同じ場所で食事をしていたりして、『いつか一緒に』という話はしていましたけど、実現しませんでした。ピッチでは厳しいけど、サッカー以外の面では人思いですごく優しいと聞きました。ある意味、一番の理想形ですよね。(39歳でも)まだまだ現役をできると思うし、J1通算200ゴールも目指してほしかった。でも、嘉人さんの中で『最後にセレッソでやって』とシナリオがあったんじゃないかな、と」

 やんちゃさと優しさが共存する男――。大久保はそんな唯一無二のストライカーだった。

[プロフィール]
栗原勇蔵(くりはら・ゆうぞう)/1983年9月18日生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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