清水エスパルスはどこへ向かって行くのか 膨らんだ期待と味わった苦しみ――最終節で見せた“躍動感”に期待

残留をした清水エスパルス【写真:Getty Images】
残留をした清水エスパルス【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】期待に胸膨らませた2021シーズン、結果的に最終節まで残留争い

 1月22日に今シーズンの日程が発表され、セレッソ大阪との対戦が最終節に割り当てられた。C大阪はこの2年間でロティーナサッカーが浸透して躍進したが、次なるステージを目指してロティーナ監督とは契約延長をせずにレヴィー・クルピ監督が就任。そのロティーナ監督を清水エスパルスが招聘し、即戦力の大型補強も断行。完全なる「新生エスパルス」が誕生して最終節の「ミステルダービー」が優勝争いなのか、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を懸けた戦いになるのかと胸を膨らませたサポーターは多かったはずだ。

 しかし、2月末に開幕してから10か月。J1からJ2へ4チームが降格するというJリーグ史上最も過酷なシーズンとなった2021年のJ1リーグ最終節には、クルピ監督、ロティーナ監督の姿はなく、C大阪は8月末に小菊昭雄コーチが、そして清水は11月頭に平岡宏章コーチが新監督に就任して指揮を執り、この最後の戦いを迎えた。特に清水は百戦錬磨の新監督に大量の新戦力でここ数年の低迷から抜け出すシーズンを夢見たが、結果的には最終節まで残留争いを演じることとなってしまった。

 それでも清水はこの試合での結果が引き分け以上で自力残留を決められ、もし勝ち点を得ることができなくても残留争いをしているライバルの湘南ベルマーレと徳島ヴォルティスよりははるかに残留条件は有利であったが、今シーズン最多となる9668人が入ったスタジアムは緊張感で包まれていた。

 C大阪のリーグ戦の成績は最終節を前に11位となっていたが、来週に迫った天皇杯準決勝を控え、いい形でリーグ戦を終え4年ぶりの天皇杯制覇へ弾みをつけたい試合。そして、今シーズン限りで現役引退を発表したレジェンドのFW大久保嘉人のリーグ最終戦。清水のホームゲームではビジター席も用意され多くのC大阪サポーターも駆けつけ大久保をはじめとする選手たちのモチベーションは自然と高まっていた。

 ただ、それ以上に清水の選手たちのモチベーションは高く試合の立ち上がりから圧倒した。前節の浦和レッズ戦(1-0)では完全アウェーのなか、立ち上がりからブロックを作り、「我慢強く(守り)、そしてどこかで一発取ってというプラン」という平岡監督の狙いどおりの展開で、後半アディショナルタイムのMF中村慶太のコントロールシュートにより、2013年から勝利のなかった浦和アウェー戦で劇的な勝利を収めた。残留に大きなアドバンテージを得た試合となったが、このC大阪戦では戦い方を変え、試合開始からアグレッシブにボールを前に運んで相手ゴールに迫っていた。

 しかし、前半34分にC大阪FW加藤陸次樹のシュートがポストを直撃。その直後のコーナーキック(CK)をファーで大久保が折り返し、そのボールがMF竹内涼に当たりオウンゴールとなってしまう。ポイントと思われていた先制点を奪われてスタンドは一瞬静まり返るが、自然と湧き上がる拍手に「誰一人動揺していなかったし、スタジアムも誰一人諦めている感じがしなかった」と、このあとにこの試合の主役に躍り出るMF西澤健太は試合後に話していた。

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下舘浩久

1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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