2022年「A代表入り」期待のJリーガー候補を厳選 森保Jへ“推したい”筆頭株は?

デュエルの強さはJリーグ随一、神戸DF菊池は面白い存在

 田中駿汰(北海道コンサドーレ札幌)は大学時代から東京五輪での活躍が期待された選手だが、今年3月の五輪代表で負傷離脱し、その後の活動に呼ばれないまま夢の舞台を逃した。しかし、札幌では3バックに定着して川崎時代の三笘を止めるなど、守備面でも着実な成長が見られた。もともと組み立てのセンスと一本の縦パスを武器とするタレントであり、複数ポジションこなせることはアドバンテージだが、A代表にアピールするだけのスペシャリティーを確立して行って欲しい。

 その点は同じく東京五輪の候補だった岩田智輝(横浜F・マリノス)にも言える。アカデミーやアンダー代表時代の本職は右サイドバックで、片野坂知宏監督の採用する3-4-2-1の右センターバックとしてブレイクした。しかし、マリノスに移籍するとボランチでの起用が増えて、現在は4バックの中央を担うなど、高い判断能力が求められる戦術の中で、プレーの引き出しを増やしている。ただ、やはり代表を狙うならサイドバックが最適ポジションか。ゆくゆくは欧州でプレーする希望も語る岩田がチームの要求に応えながら、個としてどう存在感を高めて行くか注目したい。

 センターバックでは菊池流帆(ヴィッセル神戸)が面白い存在だ。デュエルの強さはJリーグ随一と言っても良いが、ビルドアップの正確性や周りを助ける動きなど、細かい判断能力はまだ代表基準を満たしているかは未知数だ。ただ、来年のどこかで東アジアE-1選手権が開かれればアピールチャンスになる。いずれにせよ、彼のメンタリティーや特長を考えると、海外でさらに伸びるタイプかもしれない。

 また現在Jリーグではないが、今夏ジュビロ磐田からドイツのシュツットガルトに移籍した伊藤洋輝の成長ぶりが著しく、近い将来の代表入りが見込まれる。左利きの大型ボランチとして期待されたが、センターバックのポジションで特長を発揮。彼も東京五輪を逃した1人だが、非常に前向きな性格だけに、そうした逆境も成長の糧にしていると見られる。3バックならセンターバックが適任だが、4バックがメインの日本代表では再びボランチも選択肢に入ってくるかもしれない。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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