「4年前は責任を先輩に押し付けてた」 ドイツで研鑽積む浅野拓磨、クラブと代表で変化を実感「感じ方が変わってきた」

ドイツのボーフムでプレーするFW浅野拓磨【写真:Getty Images】
ドイツのボーフムでプレーするFW浅野拓磨【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】レバークーゼン戦後の浅野を直撃「僕らのチームは決して強くはない」

 今季12シーズンぶりにドイツ・ブンデスリーガ1部に昇格したボーフム。2003-04シーズンにはリーグ5位でフィニッシュし、翌シーズンにUEFAカップ(ヨーロッパリーグの前身)に出場したこともある古豪クラブだが、当時と今とでは立ち位置がだいぶ異なる。

 そんなボーフムで日本代表FW浅野拓磨が奮闘している。リーグ第12節のレバークーゼン戦では代表から合流直後ながらスタメンフル出場。強豪相手に何度か惜しいチャンスを作り出したが、最終的には0-1での惜敗に終わっている。

 とはいえ、浅野にはまったく落ち込んでいる様子がない。ミックスゾーンが開かれたこの日、直接話を聞くことができたが、チームの現状には少なからず手ごたえを掴んでいるようだ。

「僕らはもっともっとやれる。今日の試合も内容と結果が比例してるかというとそうじゃないと思う。もっと自分たちが主導権を握ってできる試合がたくさんあると感じている。まったくネガティブになる必要は全くない。昇格組として、逆に失うものはなくて、全員がやってやるぜという気持ちでやれている。もうちょっとクオリティーとか意識の部分を上げていけたら、もっといいゲームができるはず」

 そのクオリティーの部分とは? この試合を見て感じたのは、どうしてもチームの攻撃が単発で終わってしまうことが多すぎるという点。パスを出して終わってしまう場面も多く、FWにパスが入ったけどそこから次につながらない。

 そのあたりをつっこんでみたら、浅野はうなずきながら同意した。

「間違いなくそうですね。僕らボーフムの課題です。正直、僕らのチームは決して強くはない。個人個人のレベルも、ブンデスの中でいったら高いかといったらそうではない。だから、1人1人がパスを出した後のワンプレー、受けるプレーをもっと、もうちょっと意識上げられたら、もっと全員が絡める場面が増えてくるはず。いまはまだGKやボランチからロングボールとかそういう簡単なプレーが多い」

 ボーフムの中で浅野は代表歴にしても、海外歴としても経験が豊富な選手に属す。自分のプレーにだけ集中できる存在ではない。周りの選手を引っ張り、支え、導くプレーが期待されている。

 これまで積み上げてきたものがある。過去の取材レポートの中で、17年10月シュツットガルトでプレーしていた時のケルン戦後のコメントを見つけた。

「代表でも、クラブでも自分のプレースタイルがあるんで、『前に前に』って言われますけど、やっぱり試合の状況を読んでプレーできる力っていうのを、少しずつ身に付けていかないとなと思います。前への意識が強すぎて慌てたプレーになったり。試合の状況を見て、自分で判断できる、そこの落ち着き。自分にもできる部分だと思います、そこは。もっともっと、自分のプラスにしていきたいなと思います」

 当時の言葉どおり、今ボーフムで浅野は確かなタメを作れている存在となっている。前にばかりでない。ボールを収めて時間と空間を作る。強靭さが増したフィジカルは大型選手の多いブンデスリーガでも飛ばされたりはしない。仕掛けてボールロストすることもある。でも足を止めることはない。チームメイトの動きを引き出し、自分が狙えるところは貪欲に。ポジティブな気持ちは揺るがず、チームを鼓舞していく。

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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