「レッズの先を見てやっていけたら」 引退表明の阿部勇樹がサポーターに呼びかけたことは?

今季限りでの引退を発表した浦和レッズMF阿部勇樹【写真:轡田哲朗】
今季限りでの引退を発表した浦和レッズMF阿部勇樹【写真:轡田哲朗】

チームにすべてを捧げるような献身的な姿勢がサポーターに愛された最大の要因

 浦和レッズの元日本代表MF阿部勇樹は、11月14日にさいたま市内で記者会見を行い、今季限りでの現役引退を発表した。2007年に移籍加入してからイングランドでの1年半を挟んで在籍した浦和と、そのサポーターたちに呼びかけたのは「1つになる」という言葉だった。

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 阿部はジェフユナイテッド市原(現千葉)の下部組織から高校1年生でJリーグデビューし、その後にトップ昇格。イビチャ・オシム監督の下で日本屈指のボランチに成長して浦和に加入した。その初年度からAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を獲得するなど華々しい活躍を見せたが、それ以上にチームのためすべてを捧げるかのような献身的な姿勢、そして言葉数は少なくとも要所で心のこもったメッセージを発してきたことが浦和サポーターに愛された最大の要因だろう。

 その阿部も、熱狂的なことで知られる浦和サポーターと激論になったことがあった。主将を務めていた2015年、浦和はACLとゼロックス・スーパーカップで公式戦3連敗のスタートを切った。試合後の埼玉スタジアムは当然ながらブーイングに包まれたが、1周して浦和サポーターの集まるゴール裏に差し掛かろうという時に、阿部がスッとスタンドに寄っていった。そこではサポーターからの激しい言葉もあったが、阿部は指を1本立てて「1つ勝つから! 1つになってやっていこうよ」と呼び掛けた。

 そして迎えたリーグ開幕戦、敵地での湘南ベルマーレ戦(3-1)では鬼神のような阿部の姿があった。その鬼気迫る表情も、味方に対する要求も、のちにDF宇賀神友弥が「あんな阿部さん、見たことない」と話したほど。ボール際の争いで味方に「もっと行けよ、行けるだろ」と激しい鼓舞を見せ、連敗ストップの勝利につなげた。そして第2節のモンテディオ山形戦(1-0)の試合終了間際には、ネットに突き刺さるという言葉がピッタリの弾丸ミドルでの決勝点を決めた。

 そうやってチームの厳しい時を救うと、浦和は調子を取り戻した。結果的に、2ステージ制だった当時に浦和は第1ステージを無敗優勝する。しかし阿部は、チームが好調になればなるほど、目立たなくなる。思えば、試合に勝った時は「みんなの話を取り上げてください」と取材エリアでは多くを語らず、試合に敗れた時は主将としてコメントを残すスタイルだった。

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