“清水愛”を全面に出し残留ミッションに挑む平岡新監督 サポーターの後押しがあれば…

清水を率いる平岡監督【写真:Getty Images】
清水を率いる平岡監督【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】監督要請を受けた平岡新監督「エスパルスを愛しているからです」

 清水エスパルスは成績不振から「変化を選択した」と大熊清ゼネラルマネジャー(GM)が経緯を説明し、J1リーグ第34節のFC東京戦に0-4で大敗した翌日、次節の北海道コンサドーレ札幌戦の2日前にロティーナ監督の契約解除を発表した。昨シーズンも前年度に横浜F・マリノスの優勝にヘッドコーチとして貢献したピーター・クラモフスキー氏(現J2モンテディオ山形監督)を自身初挑戦となる監督として招聘したが、コロナ禍の変則的なシーズンと選手編成の問題から成績不振に陥り、やはりシーズンの終盤の11月に契約解除しており、遡れば2年前のヤン・ヨンソン監督から3年連続のシーズン途中での監督交代となった。

 昨年、クラブはポゼッションサッカーで「超攻撃的サッカー」を目指したが志半ばで挫折。リーグ最多失点「70」の改善を最優先として今シーズンはJ2東京ヴェルディ、J1セレッソ大阪で実績を残した「ポジショナルプレー」のロティーナ監督を招聘。合わせて現有戦力では力不足とオフにクラブ史上最大の補強を行い、現役日本代表GK権田修一をはじめとする11人を獲得した。サポーターが期待に胸を膨らませてスタートした今シーズンだったが、なかなかチーム状態は上向かずに夏の移籍期間でさらに5人の新戦力を獲得したが4試合を残した段階で降格圏の17位徳島ヴォルティスに勝ち点差2まで迫られてしまっていた。

 この非常事態に矢面に立ったのは昨シーズンもクラブからクラモフスキー前監督の後任を託され、9試合を4勝2分3敗と勝ち越し16位でフィニッシュさせた平岡宏章コーチ。就任会見では「2年連続でこういう形になってしまい、コーチとして非常に責任を感じています」と監督を支え切れなかったことを素直に認めた。昨年は「降格がないシーズン」ということだったが、今回はより土俵際まで押し込まれる厳しい残留争いの真っただ中。仮に降格となれば責任を負わされる事態にもなり、今回の監督要請を断る選択肢もあったはずだが、要請を受けた理由を平岡新監督は「エスパルスを愛しているからです」と感極まった表情で声を詰まらせながらも言い切った。

 準備期間が2日しかないなかで平岡新監督は先発メンバーを4人入れ替えた。MFカルリーニョス・ジュニオ、FWベンジャミン・コロリが怪我のため離脱。「基本的には継承しつつ自分の色を出していければ」と前節ベンチ外で3試合ぶりのMF西澤健太。怪我の影響もあったが17節以来、実に18試合ぶりとなるMF中村慶太。そして、夏の補強で2人のボランチが加入したことで第26節以降、MF松岡大起が累積警告による出場停止だった第32節の柏レイソル戦(0-1)以外遠ざかっていたMF竹内涼を先発で起用し、その起用理由を「メッセージを送ってもらいたかった」と話した。ちなみに毎試合前にクラブ側が選抜した選手による前日会見にはこの大事な試合を前に竹内が監督交代、今のチーム状態や雰囲気など選手を代表して話していた。

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下舘浩久

1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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