「このタイミングは逃せない」 細貝萌を17年ぶりの地元凱旋に導いた熱き“群馬愛”
【インタビュー#1】「最後に地元でプレーしたい」思いから群馬移籍を決断
日本代表で30キャップを記録したMF細貝萌は今年9月、J2ザスパクサツ群馬への加入が発表された。「最後に地元でプレーしたい」――。日本、ドイツ、トルコ、タイで、計9チームを渡り歩いてきた熟練のボランチを再び日本へ導いたのは、絶えず心に秘めてきた“群馬愛”だった。(取材・文=Football ZONE web編集部・小田智史/全4回の1回目)
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2010年12月に浦和レッズからドイツのアウクスブルク(当時2部)へ移籍以降、レバークーゼン、ヘルタ・ベルリン、ブルサスポル(トルコ)、シュツットガルトとヨーロッパでプレーしてきた細貝。17年3月に柏レイソルへ加入して2シーズンプレーしたのち、タイのブリーラム・ユナイテッドとバンコク・ユナイテッドで主力として活躍した。
21年5月にバンコク・ユナイテッドとの契約満了による退団が決まってから、ザスパクサツ群馬加入が発表されるまで約4か月間、細貝は「あえてタイでシーズンを終えてから、時間を置いて(チームを)決めました」と明かす。
「群馬県で生まれて、18歳まで群馬県のサッカーの環境で育ってきました。それ以降、浦和にお世話になってからずっと(群馬県の)外にいましたが、僕にとってはプロサッカー選手になるまでの土台を作ってくれた場所なので、生まれ育った群馬県には特別な気持ちがあります。ザスパは昔から心にあったクラブの一つだったなか、このタイミングを逃したら、力になれるか分からないと思いました。今後あと数年サッカーをやっていくうえで、コンディション、精神面で時間が必要だったこともあって、時間を置いて決めた感じです」
細貝はこれまでのキャリアにおいて、最も長く在籍したのが最初のクラブである浦和の6年間。その後は、1~2年で新たな環境を求めてきた。違うクラブや国へ迷わず飛び込める根底には、「新たなものに挑戦したい気持ち」がある。
「例えば、一つのクラブに10年以上在籍するのは本当に素晴らしいこと。残りたくても残れない選手はたくさんいますから。今までは複数年の契約を持っていたので、残ることはできるけど、逆に居心地がいいからどうなのかなとあえて厳しい選択をしたこともあるし、出場機会を求めて違うチームに行ったこともあります。いろんな挑戦をしたいと刺激を求めてきたからこそ、結果的に多くのチームを渡り歩いてきたのかなと。ザスパには、最後に地元でプレーしたい気持ちになったので決断に至りました。僕としては、チームに必要としてもらえるように日々を積み重ねていくだけです」