J1残留争い“直接対決”で「非常に大きな勝利」 清水、上位と当たる勝負のラスト9戦へ

清水がFWチアゴ・サンタナの先制点もあり大きな勝ち点3を獲得【写真:Getty Images】
清水がFWチアゴ・サンタナの先制点もあり大きな勝ち点3を獲得【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】降格圏と勝ち点「3」差で迎えた仙台戦、2-1で逃げ切る執念の白星

 2021年のJ1リーグも残り10試合となり、優勝争いやACL(AFCチャンピオンズリーグ)出場圏内の3位争いも過熱してきているが、清水エスパルスは毎年恒例となってしまった残留争いに、残念ながら今シーズンも巻き込まれている。前節まで8試合勝ちなしと勝ち点を積み上げられずに、28試合終了時点で勝ち点26の16位。降格圏17位の徳島ヴォルティスとの勝ち点差は「3」と、今節の結果次第では降格圏へ引きずり込まれる状況だった。

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 その第29節の対戦相手は、勝ち点22で18位とこちらも残留争い中で、第20節以降、降格圏から脱出することができていないベガルタ仙台。清水は残り10試合で降格圏内のチームと対戦するのはこの仙台戦が最後となり、以降の9試合はすべて清水よりも上位チームとなるため下位チームからの取りこぼしは許されない。一方の仙台は16位清水との勝ち点差が「4」。勝てばその差は「1」となり、負ければ「7」に広がってしまい残留に黄信号が点灯してしまう。お互いに負けられない、勝ち点3が絶対に必要な試合となっていた。

 前節に2得点して12試合ぶりの勝利に貢献した仙台FW富樫敬真。そして、4試合連続で先発出場していた清水のベンジャミン・コロリと、両クラブが巻き返しの主力と期待して夏に獲得した選手が負傷により欠場となった。

 試合は清水が、前半19分にチーム得点王のFWチアゴ・サンタナがCKから押し込み、一度はオフサイドの判定となったが、VARによって認められ先制。後半7分にはこの夏の移籍期間にヴィッセル神戸から期限付きで加入したFW藤本憲明が先発出場3試合目で結果を出した。「素直に嬉しいが、もっと豪快に取りたかった」と仙台GKヤクブ・スウォビィクの隙を見逃さず、バックパスからのトラップが大きくなったところにスライディングでプレスをかけて泥臭く押し込んだゴールにはにかんだが、清水移籍後初ゴール、藤本自身今シーズン初ゴールはここ6試合複数得点が取れなかったチームにとっては貴重な追加点となった。

 仙台も後半の頭からシステムを4バックから3バックに変更し、後半15分にはCKからFWフェリペ・カルドーゾが来日初ゴールとなる豪快なシュートを決めて1点差とすると、仙台の手倉森誠監督は後半36分に守備的な選手に代えてFW赤﨑秀平、FW皆川佑介と次々に攻撃の選手を投入し、FWを4枚にして交代枠を使い切り同点、逆転を狙った。チアゴ・サンタナの首の負傷交代などの処置もあり後半のアディショナルタイムは8分。お互いにカウンター攻撃でゴール前でのプレーが続き、「勝ちたい」という気持ちが入った球際の激しい攻防は、最終的に10分まで延びたアディショナルタイムを通じて繰り広げられ、清水が1点差を逃げ切り残留争いの直接対決を制した。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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