中国人選手は「欧州に行くべきではない」 代表エースFWの”推奨”へ母国メディア警鐘

日本とのW杯最終予選に出場したFWウー・レイ(右)【写真:Getty Images】
日本とのW杯最終予選に出場したFWウー・レイ(右)【写真:Getty Images】

エースFWウー・レイが欧州移籍を"推奨"も「ベンチで台無しにされる」と中国メディア指摘

 中国代表は、9月に開幕したカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でオーストラリア代表(0-3)と日本代表(0-1)に敗れ、連敗スタートとなった。日本戦後、唯一の欧州組であるFWウー・レイ(エスパニョール)が、日中の差を痛感したメッセージを綴ったことが話題となり、欧州移籍を”推奨”していることも明かされたなか、母国メディアはその主張に警鐘を鳴らしている。

 中国はオーストラリアとの第1戦で0-3と完敗。続く日本との一戦では、スコアこそ最少得点差だったものの両国の“差”を感じさせる結果に。アジアサッカー連盟(AFC)公式サイトのデータによれば、この一戦のボール支配率は日本の70.1%に対して中国はわずか29.9%。シュート数も日本の18本に対して中国は3本のみで、枠内シュートに至っては0本だった。

 日本戦後には、代表のエースFWウー・レイが自身のウェイボー(中国版ツイッター)に投じたメッセージが話題に。欧州組のウー・レイは日本戦後、空港で同じく所属クラブに戻る日本代表の欧州組を目撃し「私のそばでは、日本代表のほぼすべての選手がヨーロッパのそれぞれのクラブに戻る準備をしている。本当に感動した! 私たちとアジアトップチームとの差は非常に大きい。その差を直視しよう! 日々を無駄にしないで!」と投稿。”日中の差”を謙虚に受け止めている姿が脚光を浴びていた。

 ウー・レイはその後、自身のブログにおいて若手に対し欧州移籍を”推奨”していることを告白。中国サッカーのさらなる発展へ、自らの経験を最大限還元していく姿勢を示していた。そんななか、中国のスポーツメディア「Sportscn」は「力不足の中国選手はやみくもに欧州へ行くべきではない」と提言。ウー・レイの主張に対し「同意しない」とした理由は、欧州クラブへの移籍による”失敗例”が後を絶たないからだと綴っている。

「中国サッカー界のエリートたちがヨーロッパに到着しても、基本的にはすぐに通行人になることを数え切れないほどの前例が証明している。ごく少数の選手を除いて、彼らのほとんどはベンチで台無しにされるだけで、最後には帰国しなければならない。逆に、中国に戻ってからは、国内のサッカー環境で実力が認められ、地位が向上し、個人が輝き続けることができる」

 ウー・レイを例にとってみても、2019年のエスパニョール移籍当初こそ存在感を放っていたものの、2部リーグへ降格した昨季は先発から外され、出場時間が減少。中国サッカー界のエースでさえも、欧州では厳しい戦いを強いられている現状がある。そのため「中国の若手選手のレベルで欧州に投資するのは、大砲の餌食に等しい」と同メディアは指摘。「心配なのは、サッカー協会が海外移籍の規模を拡大する意図を持っているように見えることだ。兄貴分であるウー・レイでさえ、まだ苦労している」と警鐘を鳴らし、慎重に考えるよう訴えかけていた。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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