44歳でも現役続行に意欲 ブラジル人元Jリーガーが日本で学んだ“サムライ魂”

アラウージョと末っ子マテウス君【写真:本人提供】
アラウージョと末っ子マテウス君【写真:本人提供】

2006年には市議会議員選挙に立候補、今後は選手発掘や代理人業にも意欲

 一方で、すでに新たなキャリアに向けての準備も始めている。2006年には政治家を目指して、市議会議員選挙に立候補したこともある。

「スポーツに関するいくつかのプロジェクトをやりたいと思ったんだ。僕のいた政党がゴタゴタしてしまって、結局上手くいかなかったけど。だから、プロジェクトは、自分の分野であるサッカーの中で展開しようと考えて、勉強をしている。サッカースクールを設立して、選手の育成をし、自分でも指導しながら、良い選手を発掘したいんだ。そして、代理人の仕事も手がけたい。志を高く持って、自分のトレーニングをハードに続けながら、将来のための準備もしているわけだよ」

 夢を追い、情熱を燃やすアラウージョを支えるのは、日本での、特にG大阪でのサポーターとの思い出だ。

「愛情に包まれた思い出がたくさんある。いつも試合には、スタンドに横断幕を掲げて応援してくれたんだ。僕の最後の試合の後、それに寄せ書きをして、プレゼントしてくれたから、今も大切にしまってある。僕の試合や練習の(動画の)コピーが入った、ハードディスクまでもらってね。帰国の前には、サポーターとの昼食会をしたんだよ。そこで、僕もサインしたり、一緒に写真を撮ったりして、楽しい時間を過ごした。最後は空港まで、たくさんのサポーターが見送りに来てくれて、お別れを惜しんだものだ。ガンバのサポーターからもらったものも、過ごした日々の記憶も、愛情とともに、すべてが大切にしまってあるんだよ」

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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