ブンデス上位陣と「監督大移動」 活発化する“指揮官の移籍”が今後スタンダードに?

左からアディ・ヒュッター監督、ナーゲルスマン監督、マルコ・ローゼ監督【写真:Getty Images & AP】
左からアディ・ヒュッター監督、ナーゲルスマン監督、マルコ・ローゼ監督【写真:Getty Images & AP】

【ドイツ発コラム】昨季上位8チームのうち7クラブが監督交代、契約に移籍条項を盛り込むケースが増加

 2021-22シーズンのブンデスリーガが開幕した。例年であれば盟主バイエルン・ミュンヘンが優勝候補筆頭で、どこがそこに続くのかが注目となるわけだが、今季はどのような展開になるかの予想が非常に難しい。

 というのも、昨シーズンの1位から8位でフィニッシュしたクラブのうち、7位ウニオン・ベルリンを除く実に7クラブが新監督を迎えているのだ。

■バイエルン
ハンス=ディーター・フリック→ユリアン・ナーゲルスマン(前RBライプツィヒ監督)

■RBライプツィヒ
ユリアン・ナーゲルスマン→ジェシー・マーシュ(前ザルツブルク監督)

■ドルトムント
エディン・テルジッチ→マルコ・ローゼ(前ボルシアMG監督)

■ヴォルフスブルク
オリバー・グラスナー→マルク・ファン・ボメル(昨季所属なし)

■フランクフルト
アディ・ヒュッター→オリバー・グラスナー(前ヴォルフスブルク監督)

■レバークーゼン
ハネス・ヴォルフ→ジェラルド・セオアネ(前ヤングボーイズ監督)

■ボルシアMG
マルコ・ローゼ→アディ・ヒュッター(前フランクフルト監督)

 これだけ監督が一斉に動く年も珍しいのだが、こうした流れもひょっとしたらスタンダード化してくるかもしれない。

 ブンデスリーガ史上最長在籍記録を持つフォルカー・フィンケは、実に16年間もフライブルクという一つのクラブで監督を務めていた。フィンケは当時会長だったアヒム・シュトッカーとの信頼関係が非常に厚く、契約延長は握手をするだけで十分だったという。

「もう何年も書式の契約を交わしていないね」

 かつてフィンケは「シュピーゲル」誌の取材にそう答えていたことがあるが、こうしたやりとりはさすがに今日では考えられないことになっている。契約書は内容がどんどん明確化され、細かいことまで詳細に記載されている。そして最近では監督も選手のように、契約に移籍条項を盛り込まれたものが増えてきているわけだ。サッカー界のビジネスが複雑になっていくなかで、「契約期間満了でクラブを去る」「金銭的な交渉が決裂したり、チーム作りにおける意見の不一致が原因で退団することになる」という捉え方だけが移籍の理由とはならない。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで、さまざまなレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス取得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、16-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで精力的に活動している。

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