「横浜FCオリジナルビール」誕生の舞台裏 サポーターの声を反映…地域活性化への挑戦

横浜FCと横浜ビールが共同でオリジナルビールを開発【写真:石川 遼】
横浜FCと横浜ビールが共同でオリジナルビールを開発【写真:石川 遼】

横浜ビールとの共同開発で誕生「どこよりも美味しいと言われるように…」

 J1リーグの横浜FCは、横浜でビール醸造を行う株式会社横浜ビール(以下、横浜ビール)と共同でオリジナルビール『Under The Sky Beer~SUNNY SESSION IPA~』を開発。コロナ禍での苦悩を乗り越え、今年6月に1年越しでの発売にこぎつけた。「サポーターに愛されるビール」を目指してつくられた待望のオリジナルビールは、どのようにして誕生したのだろうか。

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 事の発端は2020年2月20日に横浜で行われていたSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした国際会議でのこと。横浜ビールの専務取締役・竹内和人氏が、会議で登壇していた横浜FCの代表取締役社長COO・上尾和大氏に直接コンタクトを取ったことから始まった。横浜ビールは横浜の地で20年以上、地ビールをつくり続けてきた。そのなかで竹内氏は以前から地域スポーツと一緒になった取り組みができないかと考えていたのだという。

「文字通り突撃してご挨拶させていただいた」という竹内氏は、その日のうちに上尾氏にメールを送った。すると、すぐに返信があったという。横浜ビールと横浜FCはともに「オリジナルビールをつくりたい」というところで思惑は一致しており、そこからは話がトントン拍子で進んでいった。

 そして2020年4月4日、竹内氏と上尾社長との邂逅からわずか1カ月半足らずというスピードで、横浜FCは横浜ビールとの「オリジナルビール開発プロジェクト」を発表。その3日後に新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、神奈川も含む7都府県に“最初”の緊急事態宣言が発令される不運なタイミングではあったが、コロナ禍で中断を余儀なくされたJリーグを盛り上げるために“横浜”の名を冠した者同士が手と手を取り合った。

 そして、そこからおよそ1年をかけてでき上がったオリジナルビールは、その名も『Under The Sky Beer~SUNNY SESSION IPA~』。横浜ビールには6種類のレギュラービールがあり、サポーターのフレーバーアンケートでは苦味と香りの強い「横浜ラガー」が圧倒的人気ナンバーワンだったため、その結果を踏まえて『Under The Sky Beer』もしっかりとした苦味と爽やかな香りが最大の特徴となっている。2021年6月27日の清水エスパルス戦でお披露目となった。

 クラフトビールの世界ではホップを効かせたIPA(インディアペールエール)が流行しているなかで、『Under The Sky Beer』はそれよりもアルコール度数が低く、飲みやすいセッションIPAというビアスタイルで、「三ツ沢の空にあうビール」をキーワードにつくられた。オリジナルビールに強い思い入れを持っていた竹内氏も、つくるからには「一番の美味しさ」を目指すとこだわりを示した。

「サッカーチームがオリジナルビールをつくるというのは決してこれが初めてというわけではないですし、これから新たに始めるところも出てくると思います。ですが、ビール造りに関してはやっぱりどこにも負けたくありません。当然サッカーでも負けたくないですが、ビールの味に関しても『どこのサッカーチームよりも美味しい』と言われるようになりたいし、そこを目指していかなければいけないと思っています」(竹内氏)

 ビールの味わいは“百聞は一飲にしかず”。今はまだスタジアムでアルコールを思い切り楽しめる状況ではないが、ビール好きのサッカーファンはぜひとも一度試してみてはいかがだろうか。

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