“本命”イングランドはお約束? EURO優勝予想に見る英国の威勢の良さと根本的問題

EUROでのイングランド代表に注目【写真:AP】
EUROでのイングランド代表に注目【写真:AP】

【英国発ニュースの“深層”】ブックメーカーのEURO優勝予想オッズ、フランスと並び一番人気

 英国に移住してきたのが1993年なので、欧州選手権(EURO)は96年のイングランド大会からこの国で見続けており、これで7回目の大会ということになる。今資料を見直すと、この大会から出場国が8カ国から16カ国に増えていた。しかし、それでもヨーロッパのベスト16は強豪国揃い。4つに分かれたどのグループも“死の組”に見えた。まさに1試合たりとも力が抜けない大会。そう、EUROはグループリーグから強豪対決が連続し、その点、ワールドカップ(W杯)よりも濃密だったと思う。

 しかし、そんな緊迫したムードも、24カ国出場となった前回の2016年大会から確実に希薄となった。今大会のグループリーグにも、W杯欧州予選のような対戦がいくつか紛れ込んでいる。

 そんな不満はさておき、イングランドである。

 驚いているのは、ブックメーカーの優勝オッズ。なんとイングランドが現・世界チャンピオンのフランスと同率の5.5倍(英ラッドブローク社)の一番人気で並んでいるのだ。

 ちなみに3番人気以下、ベルギー6.5倍、スペイン8.5倍、ドイツ9倍、イタリア、ポルトガルともに10倍、オランダ13倍と続き、現実味のある倍率はここまでの8カ国。9番人気の26倍デンマークからは、クロアチア34倍、トルコ41倍、スイス51倍、ポーランド、スウェーデンとも67倍、ウクライナ81倍となり、ロシア以降は100倍を超える大穴評価だ。

 それに加えて、英メディア上の記事も威勢がいい。もちろん、すべてのグループリーグをウェンブリーで行い、無事勝ち進むことができれば準決勝、決勝もイングランド・サッカーの聖地開催。これはまさに“ホスト国”と言ってもいい有利さがある。

 そんな地の利に加え、ジョゼ・モウリーニョが英大衆紙「ザ・サン」に掲載したコラムで「今こそ優勝の時」と、鬨(とき)の声を上げた。

 個人的には「W杯予選も酷いし、ネーションズリーグ(UEFA主催の欧州国際大会)も酷かった」と語り、ドイツを一蹴する“辛口のジョゼ節”のほうが面白かったが、チェルシー、そしてトッテナムを率い、プレミアリーグを熟知するポルトガル人闘将が「驚くほど素晴らしいスカッド。多様なオプションがある」とイングランドを手放しで称賛して、優勝候補に上げている。

 そしてイングランド・サッカーのご意見番的存在、元トッテナム監督のハリー・レドナップに至っては、「すべてがイングランドにとって有利。2018年のロシアW杯で準決勝に行ったチームが確実に進歩している。今回、決勝に行けなかったとすれば失望だ」と語り、事実上の優勝宣言を行った。

森 昌利

1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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