浦和のアジア制覇に立ちはだかるFCソウル司令塔高萩が語る ハリルイズムと韓国サッカーの完璧な一致点とは

「球際の厳しさ、守備の厳しさを学んだ」

 高萩はセンスと技術の輝く華麗な司令塔として知られていた。古巣・広島の元監督で元日本サッカー協会技術委員長の小野剛氏は「周りがどんなに泥だらけになっても、ユニフォームを汚さない」とかつて評していた。広島で16歳8ヶ月でJ最年少記録を更新した高萩少年はスライディングなどのプレーとは無縁なタレントだった。だが、タフな削りあいを韓国で日常的に経験していることでスタイルは変わった。この進化は自分自身の日本代表復帰にもつながるという。そして、浦和戦のピッチでそれを証明したいと意気込んでいる。

 浦和にはミハイロ・ペトロヴィッチ監督の他、MF柏木陽介、DF槙野智章、GK西川周作といった、古巣のサンフレッチェ広島から移籍加入して日本代表に選出されている選手も多く所属している。ペトロヴィッチ監督も、かつての教え子について「高萩がアクセントになっている。彼の働きやアイディアが、チームのクリエイティブ性を補っている」と分析し、警戒感を強めている。GK西川も「普通の選手がやらないプレーをするし、落ち着きもある。相手としては非常に嫌な存在」と、その実力を認めている。

 高萩自身も「広島とグループステージで対戦したのは、ちょっと不思議で特別な気持ちだった。浦和に関しては、昔に一緒にやっていた選手がいるというだけですが、仲のいい選手たちがたくさんいるので、そういう選手たちには負けたくない。その気持ちを持って戦いたいと思う」と、かつてのチームメートたちとの対決に強いライバル心を示した。

 韓国のサッカーを「特徴は球際の激しさと厳しさ、攻撃は縦に速くゴールまで粘り強い」と分析する司令塔は、持ち前のテクニックに韓国流を加えた激しいプレーを披露する。その先にはハリルジャパンの司令塔候補に名乗りを上げることもイメージしている。2007年以来のアジア制覇を狙う浦和にとって、大きな壁となって立ちはだかることになりそうだ。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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