「緊張感の連続だった」 韓国代表DFが語る中国強豪での日々「お金がすべてではない」

名将マルチェロ・リッピを監督の指導も受けてきた【写真:Getty Images】
名将マルチェロ・リッピを監督の指導も受けてきた【写真:Getty Images】

名将の下で大物選手とともにプレー「ものすごい財産になった」

 2012年から広州恒大は、イタリア代表監督を務めたこともある名将マルチェロ・リッピを監督として招聘。さらに15年からは元イタリア代表DFのファビオ・カンナバーロやブラジル代表監督経験もあるルイス・フェリペ・スコラーリを監督に置いた。

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 選手の顔ぶれも豪華だった。元パラグアイ代表FWルーカス・バリオス、元イタリア代表MFアレッサンドロ・ディアマンティや同FWアルベルト・ジラルディーノ、元ブラジル代表MFパウリーニョや同FWロビーニョなど大物選手がプレーしていたのだから、驚きを隠せない。

 そんな選手とキム・ヨングォンも練習をともにし、同じチームメートとして試合に出場していたのだから、学ぶべきことは本当にたくさんあったはずだ。

「当時は広州恒大だけでなく、各国代表クラスの選手が中国のクラブにたくさん来ていたので、ディフェンダーの立場としてはものすごくレベルの高いプレーを間近で見ながら、実際に対戦することができたのはものすごい財産になっています。逆に簡単なミスは許されないし、プレーの質と結果で認めてもらわないといけない。練習はいつも真剣勝負です。毎日緊張感の連続でしたが本当に充実していました。それに中国内のみならず、世界中のサッカーファンが中国リーグにたくさん関心を持ってくれたのが嬉しかったですね」

 特にリッピ監督からは、“戦うマインド”を植えつけられたという。

「リッピ監督は選手のメンタルをコントロールするのが、とても上手な指導者でした。『君たちはアジアで最も強い選手たちだ』『アジアで自分たちに勝てるチームはいない』『常に自信を持て』と常に言って、鼓舞してくれていました。戦術面に関しては、相手よりも強く当たり、競り合うこと。球際で負けるのを嫌う監督でした。イタリアは守備的なサッカーで有名ですが、守る時の動き方と戦術をたくさん教えてくれました。当時、学んだことがすごく生かされています」

 レベルの高い選手が集まっているということは、それだけ年俸と勝利給などが高額なのは当然だ。そうしたお金が勝利への動機づけになっているのではないか、と聞いてみた。

「アジアにあるクラブのなかで、勝利給は高いほうだと聞いています。それが試合に勝利するという動機になっているのはあるでしょう。お金がすべてではありませんが、成績や結果によって勝利給を正当にもらうのは、プロサッカー選手としての対価だと思います」

金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。近著に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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