久保建英、最終戦で漂わせた“危険な香り” 現地記者も評価「称賛に値する輝きを放った」

グラナダ地元メディアのフランシスコ・カルボ・オルティス記者【写真:高橋智行】
グラナダ地元メディアのフランシスコ・カルボ・オルティス記者【写真:高橋智行】

評価が難しい試合のなかで「臆することのない大胆なプレーを披露」

 グラナダに出されたイエローカード4枚のうち3枚を誘発したことが示す通り、相手に最も警戒され、チームで特に危険な香りを漂わせた選手の1人だったことを証明した久保に対し、スペイン各紙の評価は軒並み高かった。スペイン紙「ムンド・デポルティーボ」がエネス・ウナルと並ぶ最高の3点を与えると、スペイン紙「マルカ」と「AS」もチームトップタイの2点(最高3点)をつけていた。

 また「AS」紙は、「グラナダとヘタフェは何もかかっていない試合のなか、ゴールもインテンシティーもなく引き分けた」と面白味のないゲームだったことを強調しつつ、「残留を達成してプレッシャーから解放されたヘタフェが素晴らしいスタートを切り、トップ下にタケ・クボを起用してグラナダの守備にダメージを与えた」と、序盤にボルダラスの久保起用が当たったと分析。しかし後半、「タケがサイドに入ったヘタフェは熱意や強さを失った」とシステム変更が失敗だったことを強調している。

 この日、ヘタフェの対戦相手となったグラナダの地元メディア「グラナダ・エン・フエゴ」のフランシスコ・カルボ・オルティス記者に試合後、久保のグラナダ戦のパフォーマンスを振り返ってもらった。

「今日は際立った選手がいるような見どころのある試合では全くなかった。試合展開を変えるのは難しかったし、個人のパフォーマンスを評価するのに最適な試合ではなかったと思う」と両チームともすでに残留を決めていたため、モチベーションの低い試合だったことを強調しつつも、「しかしタケ・クボはその中において、我々がシーズンを通じて見てきたように、臆することのない大胆なプレーを披露し、称賛に値する個人技で輝きを放っていた。将来性豊かであること、そして来季に向けて上昇気流にあることを確認できたよ」と一定の評価を与えた。

 続けて、久保の来季の去就については「彼はレアル・マドリード所属の選手だけど、EU圏外枠の縛りがあるから、再び他のチームに行く可能性が非常に高いだろう。タケ・クボにとっては再び長い夏になるかもしれない」と、チーム選びに時間がかかることを推測した。

 昨夏移籍先の候補に挙がったグラナダ入りの可能性については、「昨季噂に出ていたし、仕事仲間であるイデアル紙(グラナダの地元紙)のラファエル・ラメラス記者によると、タケ・クボはグラナダにとって本当に補強のオプションだったようだ」とその情報が正しかったことを認めつつ、「今、グラナダにはほとんど動きはない。シーズンが終わったばかりなので、もう少し時間が経過し補強や放出の話が再開されるのを待つ時期だ」と、その話題が時期尚早であることを訴えた。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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