長谷部&鎌田所属のフランクフルト、“4差”の3位と大一番 CL出場権獲得に迫れるか

5位ドルトムントとの勝ち点差を「7」に広げることに成功、さらなる上位へ

 来季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を争う直接のライバル相手に、リーグ終盤で勝利することができた価値は果てしなく大きい。この試合だけではなく、バイエルン・ミュンヘン、RBライプツィヒ、ヴォルフスブルク、ドルトムント、レバークーゼンといったトップ6同士の直接対決における戦績を調べてみると、フランクフルトはバイエルンに次ぐ2位!

「直接対決で勝利することはとても重要で、だからこそドルトムント戦の勝利はとても貴重だった。私がフランクフルトに来て最初の頃は、それができないでいた。下位チームに勝ち点を取ることはできても上位チームには敵わない。あるいは上位チームには善戦しても、下位に取りこぼしをしてしまう。今季はここまで勝ち点を取るべき相手からしっかりと勝ち取り、そして強豪相手にも互角以上の結果を残せている。これは嘘をつかない数字だ」

 ヒュッター監督もチームの成長ぶりに目を細めている。残り7試合を残したところで4位。5位ドルトムントとの勝ち点差を「7」に広げることができた。フランクフルトの旅路はどこへと続いていくのだろう。ヒュッター監督は面白い表現で、ここからの戦いへの意気込みを語っていた。

「車で走っている時、バックミラーで後ろもしっかり確認しながら走るけど、前を見ないと進んでいけないだろう? ここからシーズン終了へ向けて、私のほうからモチベートしなきゃいけない選手はいない」

 さすがに首位バイエルンとの勝ち点差「14」をひっくり返すのは現実的ではない。だが、2位ライプツィヒとの勝ち点差は“わずか”に「7」だ。今節ヴォルフスブルクに勝つことができたら、可能性がない数字ではない。

「ヴォルフスブルクは非常にやりにくい相手だ。規律が素晴らしく、守備の安定感が高く、後半戦の失点数はわずかに3だよ。それだけではなく、攻撃も素早くて危険だ。(オリバー・)グラスナー監督とは選手時代もそうだし、彼がザルツブルクでロジャー・シュミットのアシスタントコーチだった時に対戦したこともある。ヴォルフスブルクで本当に素晴らしい仕事をしている。CLをかけた魅力的な試合になるはずだ」

 ヒュッター監督は勝ち点4差で追う3位ヴォルフスブルクとのビッグマッチを前にそう語り、気合いを入れていた。また出場停止から復帰する長谷部にとっては、古巣との対戦。当時の優勝メンバーで現役でプレーしている選手はもう少ないが、「ドイツにおけるベストフレンドの1人。いつでもコンタクトを取っている」と長谷部本人が語っていたことがある元ドイツ代表DFマルセル・シェーファーは、現在ヴォルフスブルクでスポーツディレクターを務めている。ヴォルフスブルクにしても、この試合に勝利すればCL出場権をほぼ確定することができる大事な試合だ。情熱がぶつかり合い、戦術的に探り合い、瞬間的な駆け引きが驚きの瞬間を生み出していく。さあ、直接対決を制するのはどっちだ。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)



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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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