長谷部&鎌田所属のフランクフルト、“4差”の3位と大一番 CL出場権獲得に迫れるか

フランクフルトで活躍する長谷部と鎌田【写真:Getty Images】
フランクフルトで活躍する長谷部と鎌田【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】好調のフランクフルト、勝ち点4差の3位ヴォルフスブルクと激突

 元日本代表MF長谷部誠と日本代表MF鎌田大地が所属するブンデスリーガ4位のフランクフルトは、10日に同3位ヴォルフスブルクとの一戦を迎える。

 前半戦の第11節で対戦した時には5位ヴォルフスブルク対9位フランクフルトという図式だった。当時フランクフルトは7試合未勝利が続いており、この試合も1-2で落としてしまう。上位進出どころか、残留争いを考えたほうがいいという危機感が高まっていた時期だった。

 あれから4カ月、景色はすっかり変わっている。フランクフルトはアディ・ヒュッター監督が「転機となった」と話す第13節アウクスブルク戦での2-0勝利を皮切りに、連勝街道を走り出す。11試合連続無敗という無双記録は第23節ブレーメン戦に1-2と敗れて途絶えたが、その後勢いが陰るどころか、好調を維持し続けている。

 ヒュッター監督は好調の要因について、「いろんな理由がある。システムがはまった、選手のフォームがいい、そして出場停止や怪我人の穴を埋めることができた」点を挙げていたが、特に主力が離脱しても結果を残せていることが大きい。

 良くない時のチームというのは、試合で見つかった課題を次の試合までに修正できず、さらに調子を落としていってしまう。そのあたり、チーム全体に確かな危機管理能力と自主的に問題意識を持ちながら取り組む姿勢が浸透しているところが素晴らしい。

 例えば3月の代表ウィーク前に行われた第26節ウニオン・ベルリン戦では、攻撃陣が爆発し5-2と快勝後もチームに油断は微塵もなかったようだ。この試合で1ゴールをアシストしたほか、好プレーの連続でチームの勝利に貢献していた鎌田は、次のように試合を振り返っていた。

「前半すごく良くて、いい立ち上がりで得点できた。(最初の)失点のところはファウルかどうか分からないですけど、そこからしっかり立ち直れて得点を一気に奪うことができた。でもそのなかで、いらない失点があって、チームとしてあの(2失点目の)1点はいらなかったと思う。もっとしっかり、次から強いチームとやるから集中してやりたいと思います」

 そして前節のドルトムント戦では守備の要であるオーストリア代表DFマルティン・ヒンターエッガーが負傷で、キャプテンの長谷部もイエローカード累積で出場停止という事態でありながら、試合を通して規律だった組織的守備を披露して相手の攻撃を抑え、最少失点で切り抜けて2-1で勝ち切ることができた。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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