アジア最終予選経験者として提言「予選突破だけに邁進してほしい」

　このように現在の日本代表における「理想布陣」を選出してくれた名波氏だが、ギリギリの戦いが続いた1997年のフランスW杯アジア最終予選を経験した1人として、「W杯予選は内容じゃない」と断言し、こう続けた。

「ワールドカップ予選において『どんなサッカーを披露してほしいか』を問うのはナンセンスで、『どうやって3ポイントを取りにいくのか』が問われるべき。だから試合の残り10分を時間稼ぎに使ってもいいだろうし、（相手に退場者が出て）1人多かったとしても攻めきらない、相手をイライラさせるようなボール回しや配球があって然るべきだと思う。サッカーの本質より、ワールドカップ予選を突破する。そこだけに邁進していってほしいです」

　新型コロナウイルスの影響を受けて国をまたぐ移動が制限されるなか、海外組の招集を巡っては不確定要素の多い状況が続く。これまでに経験したことのない異例の状況下で、森保監督にとっては難しいチーム作りとなるが、名波氏がここで名前を挙げたJリーグ勢や若手にとっては、ある意味で飛躍のチャンスが訪れているのかもしれない。

［プロフィール］
名波浩／1972年11月28日生まれ、静岡県出身。順天堂大学を卒業後の95年にジュビロ磐田に加入し、左利きの司令塔として黄金期を迎えたチームの中心として活躍した。Jリーグ通算331試合34得点、Jリーグベストイレブンに4度選出。1999-2000シーズンにはセリエAのヴェネツィアでプレーした。日本代表としても国際Aマッチ67試合9得点の成績を残し、1998年フランスW杯には背番号10をつけて出場。2000年アジアカップではMVPを受賞し、日本の優勝に大きく貢献している。08年に現役引退。14年から19年まで磐田監督を務めた。