南野拓実の電撃移籍は「理屈に合う」 クロップ監督の言葉から読み解く冷遇の真意

“オーストリアのクロップ”が率いるサウサンプトンへの貸し出しなら「理屈に合う」

 とすれば、ファン・ダイクもゴメスも今季絶望という状況では、今後も南野には出場機会は巡ってこない。

 それでもクロップ監督はできれば南野を”手元に置いておきたい”と思っていたという。しかし、期限付き移籍を申し込んできた相手がサウサンプトンということで、今季一杯の放出を決断した。

「他ならともかく、サウサンプトンなら理屈に合う」とクロップ監督。指揮官のラルフ・ハーゼンヒュットル監督は“オーストリアのクロップ”という異名を持ち、ドイツ人闘将の十八番であるカウンター・プレスを駆使する攻撃的なサッカーを標榜する。“ドロップ10”を採用して守りに守って接戦をものにするというような監督のチームなら、クロップ監督も南野を貸し出すことはなかっただろう。

「Southampton makes a lot of sence(サウサンプトンは大いに理屈に合う)」

 そう、この言葉のとおり、サウサンプトンはクロップ監督にとって、南野の受け入れ先として“大いに理屈に合う”チームだったのだ。

「サウサンプトンの残り試合は17。コンディションさえ維持すれば、タクミはその全試合に出場できる。そしてサウサンプトンを助け、最終的には我々を助けることになる。(入団当初にも)言ったとおり、タクミはうちにとって将来的なプロジェクトだ。とにかくタクミに必要なのは、プレミアの試合を連続して経験すること。そして17試合が終われば、自信をつけ、全く違った気持ちになって戻ってくるはずだ」

 この会見の言葉を読み解く限り、ファン・ダイクを欠いた今季のリバプールでは、クロップ監督は安心して南野をピッチに送り出すことはできない。しかし26歳の南野から出場時間を奪えば、選手としての成長も著しく阻害してしまう。

 そんなところにサウサンプトンから期限付き移籍の話がきた。攻撃的なサッカーで今季のプレミアの台風の目となっているチームなら、南野を送り出して不足はない。

森 昌利

1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。

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