絶好調アトレティコは「堅守速攻だけのチームではない」 首位独走を支える要因とは?

3バックを採用、遅攻でのパスワークも上手い

 3バックを採用している。引いた時には5バックになるのでスペースは埋まる。特にハーフスペースを消せるのは大きい。4バックのチームでも引いた時は5人にしてハーフスペースを埋めるのは、トッテナムなどいくつかのチームが行っていて、今季の傾向と言えそうだ。

 中盤と前線の構成は起用する選手によって変化しているが、第20節バレンシア戦(3-1)はルイス・スアレスの1トップ、中盤中央をダイヤモンド型に配置していた。菱形の先端にジョアン・フェリックス、底にコケ、右にマルコス・ジョレンテ、左にトマ・レマル。人選としてはかなり攻撃的である。サイドはウイングバック(ヤニック・フェレイラ・カラスコ、シメ・ヴルサリコ)が上がってくる。バレンシア戦はキーラン・トリッピアーが出場停止だったが、彼の高精度クロスは重要な攻め手になっている。左のカラスコの突破力も健在だ。

 ウイングバックの運動量が大変そうだが、中央部が分厚いので守備は固く攻撃の連係もしやすい。スアレスをトップに残す形なので、かつての10人ブロック守備に比べると9人の守備だが、遅らせれば5バックなので手堅さはある。カウンターではジョアン・フェリックスやカラスコ、マルコス・ジョレンテ、アンヘル・コレアといった推進力のある選手を生かし、遅攻でのパスワークも上手い。スアレスの獲得が決め手とはいえ、堅守を残しながら攻撃力を上げるという課題を見事にクリアしている。

 現時点で10ポイント差があるので、レアル、バルサの追撃があっても逃げ切るチャンスはありそうだ。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)


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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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