絶好調アトレティコは「堅守速攻だけのチームではない」 首位独走を支える要因とは?

現在リーガ・エスパニョーラの首位を独走中のアトレティコ・マドリード【写真:Getty Images】
現在リーガ・エスパニョーラの首位を独走中のアトレティコ・マドリード【写真:Getty Images】

【識者コラム】シメオネ監督の下で攻撃力アップ…2位バルサ、3位レアルに10ポイント差

 リーガ・エスパニョーラの首位には現在、1試合消化が少ないアトレティコ・マドリードが立ち、同勝ち点の2位バルセロナと3位レアル・マドリードとは10ポイントの差をつけている。

 レアルとバルセロナの調子が上がらなかったのが独走の要因ではある。新型コロナウイルスの影響か、それともオフが短かったせいか、ヨーロッパ各国リーグのチャンピオンチームは軒並み調子が良くない。ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンは、昨季UEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝時に比べるとパワーダウンしているし、セリエAのユベントス、リーグ・アンのパリ・サンジェルマン(PSG)、プレミアリーグのリバプールもピーク時のパフォーマンスになっていない。

 そんななか、アトレティコはパワーアップした。もう堅守速攻だけのチームでもない。

 ここ数年、ディエゴ・シメオネ監督は攻撃力アップを図ってきた。10人のブロック守備で4-4-2を復活させ、抜群の堅守と鋭いカウンターアタックで三強時代の幕を開けて以後、課題は常に攻撃力だった。

 最初は堅守を攻撃に転換させることでの打開を図った。フィールドの左右どちらかに10人が入るぐらいのワンサイド・アタックだ。サイドチェンジなしで、徹底的にボールサイドを攻めていく“狭小攻撃”は攻撃のセオリーには反するが、狭いエリアに敵味方を集中させることで、ボールを失った後のプレスが高い位置でかかる。狭いエリアで揉み合っているうちに守備力のあるアトレティコがボールを奪い、手薄な中央へボールを送れば決定機が作りやすいという狙いだった。

 しかし、この狭小攻撃策は1シーズンほどで終息。次はアタッカーを増員して普通に攻めるという策だった。堅守型といってもアトレティコはレアル、バルサに次ぐ資金力もあり、もともと攻撃のタレントも抱えている。攻撃力が低いわけではない。引かれた時にどう攻め崩すかという課題はこれで解消されたものの、攻撃力ではレアル、バルサに敵わないから優勝するにはややインパクトに欠けていた感は否めない。

 今季は、持ち前の堅守を残しながら攻撃力を上げるという課題に解答を得たようだ。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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