名門ベレーザ、哲学を貫き皇后杯4連覇 4-3の死闘…「素晴らしい決勝」を生んだ姿勢

日テレ・東京ヴェルディベレーザを優勝に導いた主将DF清水梨紗【写真:Football Zone web】
日テレ・東京ヴェルディベレーザを優勝に導いた主将DF清水梨紗【写真:Football Zone web】

後半に2点差を追いつかれるも動揺せず 小林の2ゴールで勝ち切る

 日本女子サッカーのシーズン最終戦となる皇后杯決勝が29日に行われ、日テレ・東京ヴェルディベレーザが4年連続15回目の優勝を飾った。今季のなでしこリーグを制した浦和レッズレディースとの激闘を4-3で制した試合後、永田雅人監督は「我々はボールを持って、次の1点を取って勝つという哲学を見せられた」と話した。

 ちょうど1年前の12月29日の前回大会決勝に1-0で勝利したのと同じ顔合わせになったが、今季のリーグ戦で3位に終わったベレーザはある意味で“挑戦者”の立場だった。この決勝でも、先に浦和のエースFW菅澤優衣香にゴールポスト直撃のシュートを放たれるなど楽な展開ではなかったが、前半11分にFW遠藤純が先制ゴール。同41分にはセットプレーのこぼれ球からFW宮澤ひなたが押し込み、前半で2-0と盤石の展開だった。

 しかし、ハーフタイム明けから浦和の反撃を受けると、後半24分までに2-2とされた。それでもチームに動揺はなかったという。主将のDF清水梨紗は「ハーフタイムに『2-0でリードできていたけれども、点を入れられても今の状態でも、点を取りにいくスタイルを変えないでやろう』という話があった」と明かした。

 それが形になったのが同28分、MF長谷川唯から展開された清水がボールを持ち運んでラストパス。そこに走り込んだFW小林里歌子が勝ち越しゴールを決めた。昨年まで爆発的な得点力でチームを支えたFW田中美南がINAC神戸レオネッサへ移籍し、重責を感じてきた小林による「去年のチームから一番点を取っていた選手が抜けて、責任感の部分では乗り越えたところ」という1点が決勝点になるかと思われた。

 それでも意地を見せる浦和はMF猶本光のラストパスからFW安藤梢が同点ゴール。残り4分で延長戦もちらつくなか、再びベレーザは勝ち越した。失点によるキックオフ直後にMF木下桃香が右サイドを突破。マイナスのラストパスを小林が決めて、ベレーザが4-3の勝利をもぎ取った。

 ゴールの奪い合いになるシーソーゲームだったが、永田監督は来秋から日本女子サッカーのプロリーグ「WEリーグ」が開幕する状況や、女子サッカーのアピールという点でも攻撃的な姿勢を貫く意味があったと話している。

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