清水19歳FW、“屈辱の交代”に見えた監督と選手の信頼関係 「あのプレーでは認めてくれない」

清水エスパルス平岡宏章監督【写真:小林 靖】
清水エスパルス平岡宏章監督【写真:小林 靖】

監督業を「楽しいと思ったことは一度もない」

 第13節の川崎フロンターレ戦(0-5)以来の出場となった川本だが、久々のJ1リーグでのプレーは懲罰交代させるほど悪いものではなかった。ただその交代を指揮官が迷わずにできることは、信頼関係の上に平等に選手たちを見ているからできることなのだろう。川本も「あのプレーでは平岡さんは認めてくれない。自分が目指しているものもあそこまでのプレーではないし、自分でももっとできると思っている」と闘争心をかきたてた。

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 平岡監督が就任してから攻守の切り替えも素早く、そして守備力だけではなくパスワークもスムーズとなり得点力もアップしたが、「逆にポゼッション率は下がってしまっている。そこは練習で取り組んでいる」と、残り4試合となったシーズンではあるが、さらなる進化を目指して新監督の目は燃えている。

「監督業を楽しめているか?」という問いには、「『楽しい』と思ったことは一度もない。1試合1試合が終わるごとにホッとしている」と正直な胸の内を明かしたが、次節は今シーズンにカップ戦も含めて2度対戦し、いずれも5失点を喫して完膚なきまでに叩きのめされているチャンピオンチームの川崎戦。平岡監督のかん高い声がホームスタジアムに響き渡り、選手を鼓舞する姿が今から楽しみである。

 最後に勝ち点23で17位の清水と勝ち点差「1」で16位の湘南との対戦となった第30節。この試合を入れてリーグ戦は残り5試合となり、通常であれば残留争いが佳境に入るところだ。開幕時のレギュレーションであれば自動降格となる17位とJ2チームとのJ1参入プレーオフに回る16位の対戦となれば、お互いのサポーターが醸し出すスタジアムの雰囲気も殺伐としたものになるのだが、この日の観客数は上限1万人にもかかわらず7307人。やはり、いつもとは違うJリーグなのだとあらためて感じさせられた。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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