清水19歳FW、“屈辱の交代”に見えた監督と選手の信頼関係 「あのプレーでは認めてくれない」

清水エスパルスFW川本梨誉【写真:Getty Images】
清水エスパルスFW川本梨誉【写真:Getty Images】

【J番記者コラム】平岡監督の就任後に22選手がプレー、19歳FW川本は湘南戦で“途中出場途中交代”

 清水エスパルスは前々節からアウェー2連戦に臨み、J1リーグ第28節で北海道コンサドーレ札幌戦に1-5と大敗した一方、前節は横浜FC相手に前半で3ゴールを奪い3-1で勝利した。平岡宏章監督の就任後、ホームで2連勝してからのアウェー連戦を1勝1敗で乗り切った。札幌戦では寄せの甘さやクリアボールの処理不足から失点を重ねたが、勝利した3試合ではすべて最少失点の1失点で抑え、平岡監督就任前までの25試合で54失点、1試合平均2失点以上を喫していた守備の修正は整いつつあり、「守備のスイッチの入れ方を変えて良い守備から良い攻撃ができている」と、指揮官も一定の手応えを感じていた。

 選手たちからの信頼も厚く、11月29日に行われた今節の湘南ベルマーレ戦(1-1)でも得点を決め、チームトップの9ゴールを決めているFWカルリーニョス・ジュニオは「役割を指示され、我慢しながらプレーするように」と監督から言われているが、「選手たちの姿勢が変わった。メンタルが強くなってきている」とすべてを前向きに捉えている。攻守にわたってチームをけん引しているDFエウシーニョも、「監督として取り組む姿勢が良く、選手たちも楽しんでサッカーがやれている」と話している。

 ここまでの4試合で起用した選手は22人。支配下選手31人中、長期離脱していた選手や現在怪我で離脱中の選手、そしてGKなどを除けばほぼすべての選手を起用している。そして平岡監督が起用していなかった1人のFW川本梨誉もこの湘南戦で途中出場し、1点ビハインドのなか、投入後1分で同点に追いつく起点となるボールを奪うプレーを見せた。川本と同時にFW鈴木唯人も投入したが、この19歳コンビが効果的な攻撃ができていなかったチームを活性化させ、その後は清水が試合を支配する展開となった。

 しかし、川本は21分間プレーしたところでFWティーラシン・デーンダーと交代させられる。怪我でもなく、途中出場途中交代ということは選手としては屈辱であると思ったが、この交代を平岡監督は「最初からイン・アウトする可能性が非常に高いということは言ってあった。内容は良かったと思うが、最後の精度や質というクオリティーが彼の課題。そこを上げていけるように頑張ってもらいたい」と話した。

 川本は清水ユース出身の1年目の選手だが、昨年は2種登録ながらリーグ戦2試合、カップ戦1試合に出場し、プロ1年目の今シーズンに期待していたサポーターも多かった。しかし、前節までのリーグ戦出場は4試合。そのすべてが途中出場で、プレー時間は合計45分間の出場に留まっていた。同期入団の市立船橋高校出身の鈴木がコンスタントに出場を重ねてすでにA契約に到達するなか、ユースの3年間で指導した平岡監督が、“愛弟子”川本の奮起を期待しての交代だということは本人が一番分かっていることだろう。

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下舘浩久

1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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