清水の勢いは“本物”か、“監督解任ブースト”か 今季初の2連勝…ラスト7戦は来季への試金石

前節の神戸戦から指揮を執る平岡宏章監督【写真:小林 靖】
前節の神戸戦から指揮を執る平岡宏章監督【写真:小林 靖】

昨季も監督交代後に5戦無敗、この勢いが“本物”かは残り7試合の戦い次第

 ただ、この連勝は平岡監督も言うように「監督交代」という劇薬を投じたことの副作用が良いカタチに出ているだけなのかもしれない。

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 実際に昨シーズンも、ヤン・ヨンソン監督から篠田善之監督に交代した直後の5試合を3勝2分の無敗とし、復活したように思われたが、結果的には最終節で残留を決める苦しいシーズンとなった。これが本物であるのかは、残り7試合を見なければ分からないが、ここにきて怪我で離脱していた選手たちが復帰し、所属選手30人全員が練習に合流できていることはプラスだろう。

 またそれにより本職のポジションで選手を起用できることは、試合内容、結果に大きく影響している。ファン・ソッコが戻り最終ラインが安定したことで、センターバックでの起用が多かったヘナトがボランチで躍動し、MF竹内涼が復帰したことで中村をサイドハーフの攻撃的なポジションで起用することができるようになった。もちろん、フォーメーションを4-4-2に変更し、適材適所での選手起用や臨機応変にポジションを入れ替える柔軟さは、新監督がチームにもたらしているプラス材料であることは間違いない。

 すでに来シーズンのチーム編成作業はフロントが進めていると思われるが、平岡監督の就任時に「契約上はまずはこの9試合をお願いした。その後については未定というか、まずは今までチームを近くで見てきた平岡監督にしっかりと任せて、それからいろいろと判断をしていく」と、大熊清GMは今後について話していた。監督人事についても様々なケースを想定して、その候補をリストアップしているようだが、常に謙虚な姿勢で「もう一度、強い清水エスパルスに戻したい」という純粋な想いで引き継いでくれた平岡監督に、新シーズンを託してみるのも新たな改革になるのかもしれない。

 ともかく今シーズンの残り7試合で自信を取り戻し、4チームが自動降格になるという過酷な2021シーズンに向けて、しっかりと準備を整えて欲しい。

 最後に、この試合は「鹿児島デー」と15年連続で春季キャンプ地としてお世話になっている鹿児島市がサポートしたもので、毎年行われているこの「鹿児島デー」での成績はなんと8勝2分。清水にとっては天下無敵の絶大なるイベントの一つとなっている。クラブ内の人事異動でこのイベントの担当者に変更があり、新担当者も勝利できたことに一安心をしていると思うが、来シーズンも素晴らしい施設と環境を提供してくれる鹿児島市で無事に春季キャンプが開催され、「鹿児島デー」の不敗神話が永遠に続くことを願っている。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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