清水の勢いは“本物”か、“監督解任ブースト”か 今季初の2連勝…ラスト7戦は来季への試金石

円陣を組む清水エスパルスの選手たち【写真:小林 靖】
円陣を組む清水エスパルスの選手たち【写真:小林 靖】

【J番記者コラム】C大阪戦に3-1で勝利 平岡監督の就任後、今季初の2連勝

 前節のヴィッセル神戸戦(3-1)で今シーズン初の逆転勝ちを収め、平岡宏章新体制の初陣を白星で飾った清水エスパルスは、J1リーグ第27節セレッソ大阪戦にも3-1で勝利し、今季初の連勝を収めた。“初物”が続いているが、平岡監督は初采配となった神戸戦の評価を「60点」とし、残りの40点は「先制点を奪われてしまったので、先制点が取れるようにしたい」と回答。今週の練習では攻撃面においてはビルドアップと崩しの部分での共有、守備面では「行く、行かない」というスイッチの質の向上を挙げて取り組んだ。前節はセットプレーから2得点を奪い3-1、今節も同じスコアではあったが練習の成果が出る形で、流れのなかから崩しての3ゴールとなった。

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 後半4分にDFファン・ソッコがクリアボールの競り合いを制すると、そのこぼれ球をDFエウシーニョ、MFヘナト・アウグスト、MF西澤健太、そして再びヘナトと、すべてワンタッチでつなぎ、今度はヘナトとFWカルリーニョス・ジュニオがヘディングでのワンツーで相手ディフェンスを翻弄した。最後はヘナトがペナルティーエリア内に侵入。飛び出した相手GKキム・ジンヒョンより先にボールに触わってこぼれるが、その勢いのままストライカー顔負けのオーバーヘッドキックでシュートを放つと、ボールは右サイドネットに吸い込まれた。

 同22分にはC大阪MF清武弘嗣のヘディングシュートが決まり一度は同点に追いつかれるが、後半から出場したMF中村慶太が同41分にゴール前でカルリーニョスとのワンツーからダイレクトでシュートを放つと、これも右サイドネットに吸い込まれて今シーズン初ゴールで勝ち越し。さらに同45+4分には、カウンターから中村のロングパスにオフサイドラインを確認して飛び出したFWティーラシン・デーンダーが一度はGKに1対1を止められるが、ティーラシンの落としたボールをカルリーニョスがダメ押しの3点目を奪い試合を決めた。

 試合後、この試合ではあまり平岡監督がベンチから大きな声で指示を出すシーンが少なかったことを尋ねると、「前節は試合をやるまでに30分くらいしかトレーニングがやれず、試合をやりながら修正していくことをやったが、今回は上手く選手たちがやってくれていたので、そこまで大きな声は出すことがなかった……。でも、今日のほうが声は枯れていると思う(苦笑)」と話した。前節に続き6000人を超えたサポーターは、その美声を聞く機会は少なかったが、前任者の残した遺産を生かしつつも、守備を整理して前節よりもさらに成長したチームを操った新指揮官とともに、勝ち試合に飢えていたサポーターも連勝という結果に酔いしれた。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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