“岡崎流”ストライカー論 欧州3カ国を経験して実感、日本人FWが海外で輝くための条件とは?

海外で順応するために一番重要なこととは――岡崎の原点「スピードを掴むこと」

 ドイツ、イングランド、スペイン。各国それぞれでリーグの特色もある。3カ国でプレーした岡崎は、結果を出すために「スピードを掴むこと」が一番苦労したことだと語る。例えばドイツは、体が強くて組織的に戦う。本番で普段以上の力を発揮するメンタルの強さもある。一方でイングランドは、身体能力の高さを生かし、個の能力も高いサッカーをする。スペインでは、よりチームでボールを回してゴールを狙う。そのなかで、いかに早くプレースピードを掴むかが、重要になってくる。

「一番言えるのは、プレースピードを掴むのが一番難しい。僕個人としては、プレースピードを大事にしてきた。トラップからパスとかドリブルからシュートとか、クロスに入る速さとか。(それぞれの)リーグにフィットするためには一番重要。そこさえ自分が意識していればビックリすることがない」

 岡崎はもともとプレースピードを意識して、ここまでやってきた。兵庫県の名門・滝川第二高校から清水へ入団した当初も、「泥臭い」「一生懸命」がモットー。「必死に環境へ馴染むため、下手だけど何とかついていく……というサッカー人生だった。だから、まずプレースピードに慣れることを意識していた」。だからこそ、岡崎のプレースタイルは海外でもすぐ順応できた。さらに、パーソナルトレーナーを務めていた杉本龍勇さんと出会い、キレが磨かれた。スペインでもすぐに適応して、1年目から結果を残せた理由は原点にあった。

「海外でも通用したから、あとはプラスアルファ。プレースピードさえついていければ、あとは何かプラスアルファ積み上げるとライバルに勝てる」

 もう一つ、スペインで意識していたことがある。ドイツ時代、プレミア時代からDFとの駆け引きの仕方を変えた。Jリーグ時代は自身が中心となり、チームがボールを集めてくれていた。だが、海外に行くとまずチーム内の競争に勝たなければピッチに立てない。そのために、必要な役割を担っていた。特にプレミア時代は周囲に合わせて、人がいないところに岡崎が入っていく。それは「自分の特長を出しているというよりは、誰もやらないことをやる。誰もやらないことを自分がして生き残るというやり方」だったという。だが、スペイン2部ではJリーグ時代のように最後は自分にボールが集まってくる展開を理想とした。

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