「全くやっていなかった」5バックで勝利… “緊急事態下”の浦和が勝てた理由とは?

長い守備の時間を強いられた浦和レッズ【写真:Getty Images】
長い守備の時間を強いられた浦和レッズ【写真:Getty Images】

試合中に4→5バックへ移行、昨季の経験値を活かし急場をしのぐ

 浦和レッズは15日、J1リーグ第10節でサンフレッチェ広島と対戦し1-0で勝利した。しかしその内容は、前半途中から「練習でも全くやっていなかった」システムで逃げ切りを図ったもの。結果的に、リーグ戦で3試合ぶりの白星を挙げたものの、ピッチ上では“緊急事態宣言”が発令されていた。

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 浦和は前半5分にカウンターからMF汰木康也の突破で得たPKをFWレオナルドが決め、首尾よく先制した。しかし、その後は広島の猛攻にさらされた。特にJ1屈指のサイドアタッカー、MF柏好文を擁する広島の左サイドからの攻撃に対し、当初は4バックで対応しようとしていたもののMF関根貴大は前後左右に揺さぶられ、いつ崩壊してもおかしくない状況になっていた。

 この状況について大槻監督は試合後、「準備をしてきたことというよりは、この暑熱下で予想はしていたけど、今のやり方で広島さんのやり方に対して、スライドしたり、アジャストしたりするところが難しかったので、試合の途中でいろんなことを試行錯誤しながら修正をしながら、選手たちはよくやってくれた」と話した。その中身とは、5バックに移行して相手攻撃陣との人数を合わせること。しかし、その当事者である関根の言葉からは混乱の渦中にあったピッチ上の状態が浮かび上がった。

「(5バックの練習は)全くしていないですし、そこはゲームの流れでそういうような感じになってしまった。前半から5枚になってくれと言われていたので、後半も継続する形だったんですけど、ただ5-4-1というブロックを作っているというのが統一されていなかった。試合が終わった後に、選手によっては4-4-2のままだと思っていたというのもありましたし、そこのコミュニケーションがちょっと取れていなかった」

 関根のいた右サイドは前半、ベンチに近いサイドで大槻監督の目の前だった。それゆえに、その対応を関根には伝えやすかったのだろう。しかし、トレーニングでもやっていないシステムへの変更で不幸中の幸いだったのは、昨季まで長らく浦和が3バックでプレーし、相手ボール時に5-4-1になる経験値を持っていたこと。緊急事態に陥ったチームが急場をしのげたのは、このためだと言えるだろう。

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