日本代表「CF史」と万能型FW 伝説の日韓戦で存在感を放った“技巧派アタッカー”

その後の日本代表で主流となった、ゲームを作る「戸塚タイプ」のCF

 国立競技場での第1戦は、韓国が2-1で勝利した。実力的にも韓国が一枚上だったが、東京での第1戦を慎重に戦ったのも勝因だろう。韓国は日本の攻撃の中枢である木村を厳重にマークしながら日本にボールを持たせた。予想外にボールを持てた日本は攻勢に出るが、これは韓国の思惑どおりで逆襲から2点を失っている。日本も木村のFKから1点を返したが、そこまで。

 ただ、戸塚のプレーぶりは面白かった。途中から中盤に下りてボールを預かり、ゆったりとしたドリブルで運んでいった。懐の深いキープ力には定評があり、韓国もボールを奪えない。それまでの日本のCFにはあまりいない、ゲームを作るCFだった。

 韓国での第2戦は0-1。戸塚の日本代表でのCFはこの2試合のみだが、その後の日本代表のCFは得点を量産するというより、ボールをキープして攻撃の起点になるタイプのほうが多くなっていく。

 ヴェルディ川崎(当時)ではJリーグ開幕前に優勝したナビスコカップ(現・ルヴァンカップ)で、戸塚が引きつけて三浦知良がシュートというパターンがあった。日本代表では高木琢也や城彰二がトップでタメて、セカンドトップの三浦が狙う形だった。戸塚が流れを作ったというより、日本のCFは元々そういうタイプのほうが多いからだと思う。

 柳沢敦、前田遼一、大迫勇也の歴代CFは「万能型」ではあるが、前線でキープして攻撃を作る役割を果たしてきた。2010年南アフリカW杯でCFだった本田圭佑もそうだ。単独突破型はほとんどおらず、パスワークで攻め込んでいく過程で関与できるCFが求められてきたということなのだろうし、それに適した人材も多かったわけだ。

「釜本タイプ」は久保竜彦くらいで、ほとんどはMFも兼任できるような「戸塚タイプ」に近い。裏抜けが得意なスピード型も何人かいるが、CFとしてはキープ力に優れた選手が日本代表の主流であり、不可欠だったわけだ。

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(西部謙司 / Kenji Nishibe)


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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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