V川崎“黄金期”のブラジル人DF、6年間の日本生活に感謝 「人生で大事なことを学んだ」

自身のスクールの生徒とペレイラ氏(左端)【写真:本人提供】
自身のスクールの生徒とペレイラ氏(左端)【写真:本人提供】

「日本の人たちはいつでもとても優しく、同時にすごく強い」

 育成に情熱を燃やすペレイラが、その仕事をするためのベースを築いたのは、V川崎や札幌でのプレーと、日本での生活だったと言う。

「少年を指導するというのは、その子の人生に関わるんだから、責任重大だ。僕にとっては、日本で学んだことがその肥やしになっている。もちろん、Jリーグやクラブの運営の素晴らしさもそう。それに、日本で子育てをしたことによって、親子で教養や規律の大切さも知ったんだ。時間や約束を守ること、日本の人たちの正直さや真面目さ、何でもきっちりやろうとすること、そういう人生において大事なことを、すごく学んだ。息子や娘のアマンダは、当時は幼かったけれど、今も日本人のスピリットを持って暮らし、学び、仕事をしようとしているよ」

 妻マルシーさんと暮らす郊外の一軒家には犬や猫、鶏がいて、天然の池には魚がいる。マンゴーの木には小鳥たちも集まってくる。そして、家の中では日本で獲得したトロフィーやメダルはもちろん、日本人形、こまいぬの置物、浮世絵など、日本でプレゼントされたものに囲まれて暮らしている。

 Jリーグの動向や、現在のパンデミックの状況など、日本のニュースを欠かさず追っている彼が、こんなふうに語ってくれた。

「日本は今、普通の生活を取り戻そうとしているよね。なかには、大事な人や仕事など、何かを失ったり、人生を取り戻そうとしている人もいることだろう。だから、考えて欲しい。日本の人たちはいつでもとても優しく、同時にすごく強いということを。人々が手を取り合うことも、一人ひとりがしっかりと前を向いて立ち上がることも、できる国民なんだ。

 今回もそうやって乗り越えて欲しい。サッカーがなんらかの形で、それを手助けしてくれることもあるといいね。そして、この大事な時に、僕のことを思い出して、この記事を読んでくれることを幸せに思う。本当にありがとう」

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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