V川崎“黄金期”のブラジル人DF、6年間の日本生活に感謝 「人生で大事なことを学んだ」

大会での生徒と息子レオナルドとのショット【写真:本人提供】
大会での生徒と息子レオナルドとのショット【写真:本人提供】

ともにスクールを運営するペレイラの息子 「父ほど誠実な人に会うのは難しい」

 一緒に運営しているのは、ペレイラの息子で、現在32歳のレオナルドだ。彼は大学で経営学を専攻し、主にピッチの外のことを担当してきたが、その後サッカー運営とスポーツ心理学を学び、サッカー指導者ライセンスも取得して分野を広げてきた。現在はイトゥアーノでも仕事をしながら、大学で体育学を学んでいる。

 そんな彼に父のことを聞くと、「責任感が強くて正直な人。僕は子供の頃からサッカーの世界を見るのに慣れているけど、彼ほど誠実な人に会うのは難しいよ。だから、いつも父を見習おうとしている。人生のうえで大事なことだからね」と照れくさそうに話す。

 現在は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)によって、ペレイラのスクールも休校中。オンラインで指導したり、SNS上でリフティング大会を開くなど、刺激を与えたりしている。ただ、ペレイラはこの苦境をも少年たちの成長の糧に変えたいと考えている。

「再開したら、話をしようと思っている。人生には思うようにいかないこともあるけど、何かを実現するためには、まずは自分が頑張ることが大事なんだ、ということをね。今はいろいろなことが簡単で、なんでも親が与えてくれるという子も多い。でも、大人が『自分たちの頃は…』と言っても始まらない。時代が違えば、環境も状況も違うんだから、この現代に、子供たちがどう生きていくべきかをいつも話すようにしているんだ。

 例えば、ここへ来るほとんどの子供たちは、サッカー選手になりたいと思っている。だから、13歳になったら、本当になりたいなら自分でつかまなければならないこと、そのために何をしなければならないか、どれだけ献身しなければならないかを、自覚できるように話すんだ。自分が本当にしたいことは何か。13歳から17歳の少年たちには、人生について、いつでも少しずつ話すようにしているよ」

藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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