レアルとコロナ禍の今夏補強策 最大273億円の減収…久保の去就と“大物獲り”の行方は?

負傷していたMFマルコ・アセンシオとMFエデン・アザールがチームに復帰【写真:Getty Images】
負傷していたMFマルコ・アセンシオとMFエデン・アザールがチームに復帰【写真:Getty Images】

活動停止による“恩恵”、負傷していたアザールとアセンシオが復帰

 MFカゼミーロは自宅待機を続けてきたことについて、「自宅トレーニングは重要だった。コーチングスタッフが与えてくれたことに僕たちはしっかりと取り組み、フィジカル面をきちんとキープして、それをグラウンドで証明している」と語ると、FWヴィニシウス・ジュニオールは「活動を再開し、選手全員で練習を行い、再びこのシャツを着られて嬉しいよ」と喜んだ。一方、DFダニエル・カルバハルは「練習初日はボールコントロールに苦しんだよ。自宅で同じようにトレーニングすることはできないからね」と明かしている。

 2カ月近くの活動停止がネガティブなものであった一方、恩恵を受けた選手もいる。昨年8月にアメリカで行われたアーセナル戦で膝に重傷を負ったMFマルコ・アセンシオと、2月22日のレバンテ戦で右足腓骨の亀裂骨折により離脱したMFエデン・アザールが揃って練習初日から参加できたことは、ジネディーヌ・ジダン監督にとって残りのリーグ戦とUEFAチャンピオンズリーグを戦ううえで、ポジティブなニュースになっている。

 アザールが「チームメートと再び一緒に練習できて嬉しいよ。でもリーガ中断から2カ月が経ったので、フィジカル面とボールを使ったトレーニングがもっと必要だ」と笑みを見せると、アセンシオは「この時をずっと待ち望んでいた。上手くフィットしているし、膝の状態もいい」と問題がないことを強調した。

 その一方、母国セルビアに帰国していたFWルカ・ヨビッチが自宅の塀から転落。右足距骨骨折により全治2カ月の重傷を負い、リーグ再開時には間に合わない。しかし今季のパフォーマンスを考慮すると、戦力的にはそこまで痛手にはならないだろう。

 レアルは今季、クラブ史上最高額となる8億2200万ユーロ(約975億円)の収入を見積もっていた。しかし無観客開催が大きく影響し、チケット、放映権、ベルナベウツアー、グッズ、スポンサーなど、約13〜30%にあたる1億〜2億3000万ユーロ(約118億円〜273億円)の収入減が予想されている。

 このようにレアルは新型コロナウイルスの影響を財政面に大きく受けているため、今夏の移籍市場は、3億ユーロ(約354億円)もの莫大な資金を費やした昨夏のようにはいかないだろう。

page1 page2 page3

高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング